白井健康元気村

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楽しくないと続かない! 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㊴

2022-02-24 05:11:07 | 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㊴

楽しくないと続かない!

岩崎邦子 

 

 

 朝陽が食卓に差し込み眩しい。天気予報では関東地方の今日一日の好天を伝えているが、冷たい強風が吹くようだ。パークゴルフのプレーにとっては少し残念ではあるが、日本海側の連日の暴風雪の様子がテレビで映し出されているのを見ていると、太平洋側に住んでいることを幸せに思う。
 弁当を夫と二人分用意し、風の強さで帽子が吹き飛ばされないようにとか、寒さ対策なども考えながら外遊びの身支度をする。
 八千代パークゴルフ場の集合場所には、同じグループのメンバーがちらほら。あとは単独で来ている人が数人程度だ。
 この時間帯で少ない人しか見かけないのは、寒さのせいもあるだろう。でも、やはりコロナ感染を警戒している人たちが多いからかも。 ちなみに、私たち夫婦が参加する「月曜会」は、船橋市民が多くを占めているが、3回目のワクチン接種が終わっていない人が多いらしい。
 それに比べ白井市民ばどうだろう。市のワクチン接種対応は、早かったようだが、3回接種が無事に終わったと言っても、油断は禁物である。
 八千代パークゴルフ場の片隅には、まだ雪の塊が残っていた。コースへの道の所々に霜柱が立ち、踏みしめるとザクザクという音が。雪や雨に遮られてプレーが出来ない日もある。
 でも、元気な高齢者が、気を遣いすぎて家に引きこもることの方が問題だろう。パークゴルフ場では寒くても、球を追っかけているから、体が動く。つまり、歩けるのだ。
 パークゴルフを簡単に説明しよう。プレーの組み合わせは、男性・女性が混合になるが、番号を書いたお箸を男女別に担当者が引いて決められる。ま、全くの初心者がいないことと、特別に秀でて上手い人もいないから、出来ることなのかも。
 この日、14人が4人、4人、3人、3人に分かれて4組。同じ組の中で、コース毎に良いスコアの2人合わせた数字を合計し、それを申告して順位が決まる。
 つまり、自分のスコアが悪くても、他の仲間が良い時もある。逆に仲間のスコアが悪くても、自分が良い場合もある。そんなわけで、仲間意識や応援意識が自然と強くなるのだ。
 私は男性2人女性2人の4人組になった。顔ぶれを見て、ホッとする。大きな声で言えないが、神経質な人との組み合わせはねぇ、うーん、苦手だ。
 さて、プレーの初めには同じ組になった人たちに「よろしくお願いします」と一声かけるが、まずは「楽しくプレーをしたいね!」の気持ちがぐっと込められている。
 体調や天気の具合が影響する時もあるが、誰にも良い時もあれば、ミスの連続があったりもする。いいプレーが出れば「良いねぇ」だし、「ラッキー」だったり、「どんまい!」だったり。楽しくなって、大笑いも時には出てしまう。
 私が神経質な人が苦手となった経験を綴ってみよう。
 ある時、私はミスをした。楽しくプレーをしてきた余韻のまま、Sさんがティグランドでアドレスに立っているときに、うっかりとおしゃべりを。ハッとして私はSさんに「ごめんなさい!」と謝った。が、彼は相当頭に来てしまったようで、許してくれない。
 次のホールも次のホールも、また次のホールも「全く!モチベーションが下がってしまった!」と、繰り返し、スコアメイクが出来ないことを苛立つ。当然、私はシュンとなり、極力話さない、笑わない、のプレーをした。
 ゴルフなどでは、プレーヤーがアドレスに立っている時、おしゃべりをしないで静かにするのが、マナーでもある。プロゴルフのテレビ中継などで、ボランティアの人が「お静かに」と書かれた札を、ギ
ャラリーに向けている。
 だが、友人や仲間同士のコンペでは、マナーとして厳しい人もあるらしいが、それほど気にしない人も多く、笑ったり、話したりしているようだ。
 この日は全く楽しくなかったプレーを、帰りの車の中で夫にグチった。すると夫は「俺なんか、周りで話していても笑っていても、あんまり気にしないけどなぁ」と。
 が、以後からはSさんと一緒の組になった時には、夫は口に手を当て、「喋るな!」と、合図してくる。プレーの途中で、他の組になった人とコースですれ違うと、「どうしたの? 今日は、いやに静かだね~」と、不審そうに声をかけられる。
 その後、何人かの人との話の中で、Sさんからいろいろと注意されて「嫌になっちゃう!」の声を聞くことが度々になった。名前こそ出さないが明らかにSさんの神経質ぶりを嘆く男性もいる。
 Sさんはプレーに熱心のあまり、球を打つ方向や強さ・弱さを何かとアドバイスをしてくるのだが、その言い方は、上から目線で、しつこくて、うるさいらしい。
 元気さやプレーの上手さに、私が感心している3歳年上の女性Tさんがいる。ある時、このTさんがSさんにいろいろ注意されている姿を目撃することに。
 彼らは私たちの組の前でプレーをしていたのだが、パークゴルフのクラブのグリップをSさんの頭に当てて、球を打つ方向でも指示されているらしい。それも何回も繰り返しているのだ。私は遠目ながらも、彼女が可哀そうになって涙が出てきた。
 Tさんのパークゴルフ歴は、かのSさんよりも相当長く、もう少し若い時は、成績優良者の大会にも選抜されて、良い成績を出してきている人だと、最近になって私は知った。
 本来ならTさんから見れば、まだまだ若造のSさんは、彼女にもっと敬意を払っても良いはずだ。彼女はご主人に先立たれている人なので、家に帰ってもその日の悲憤を言える人がいない。
 私は右耳が悪いが、彼女の耳も年相応に聞こえが悪いのか、おしゃべりは一方通行になることが多い。でも、彼女のグチや鬱憤が少しでも癒されるならばと、相槌を打ちながら聞くことにしている。
 長く楽しんで来ているパークゴルフ、当初は元気だった人の訃報も、すでに何人か聞いているし、体の衰えが見るからに分かる人も出てきている。私達夫婦も、それはもう目の前のことだろう。その日のスコアよりも、楽しくプレーが出来た喜びを大事にしたいものだ。
 冬の枯芝は球の転がりも早く、力のない私には遠くまで飛ばせる快感も味わうことが出来るが、カップの近くになれば、周りの芝の流れや凹み、球の走りの速さに細心の注意が不可欠になる。
 思惑通りの時や、不運もあったりするが、それは自分ばかりでなく、一緒にプレーをする仲間にも起きること。だから、呆れるようなプレーになった時も、大笑いでやり過ごすことにしている。
 なにせ楽しく過ごしたいからだが、それを「明るい人!」と取ってくれる人も多いことが救いである。日本パークゴルフ協会が「はじめてのパークゴルフ」と題したパンフレットには、こんな言葉が。

〈パークゴルフは子供や若い人から、友人・家族、高齢者に至るまでが、芝生の上を歩き、四季折々の自然の中で、気軽に会話を楽しみ、人とのつながり=コミュニケーションを大切にする場である。〉

 そうだ。そのとおり! 運動音痴だった私。楽しくなければ、これほど長くは続かなかった。

 

 

【岩崎邦子さんのプロフィール】 

昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。


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