白井健康元気村

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《注目の書籍》長生きしたけりゃ 咬むのが一番!

2023-06-28 05:02:58 | 書評

《注目の書籍》長生きしたけりゃ 咬むのが一番!

 

日本顎咬合学会 著 

小学館 刊

定価1,430円(税込み)

 

咬み合わせのプロが説く「健口長寿」の秘訣

100歳以上の高齢者が10万人に迫る「人生100年時代」を迎えるなか、きちんと咬んで食べられる健康な口=健口づくりが注目されています。

寝たきりだった高齢者や車いすの人が、咬んで食べられるようになると、回復して歩けるようになった例が実際の医療現場で報告されているのです。

また、成人の7~8割がかかっているとされる歯周病は、心臓病や糖尿病、認知症、がん、肺炎など全身の病気と深く関係することがわかってきました。歯周病を予防し、口の中を清潔にすることで、これらの病気が改善したり予防につながったりすることも、多くの研究や臨床で証明されています。

具体的にどのような方法で「健口」をつくることができるのか。口腔ケアの正しい方法からインプラント・入れ歯・ブリッジの選び方まで、口の健康を守る医療を追求してきた「咬む医療」のプロ集団である日本顎咬合学会の歯科医師たちが、わかりやすく解説します。(出版社より)

 


 医療ジャーナリストの油井香代子さんは、私の長年の友人で、白井健康元気村の常連講師だ。その油井さんから紹介されたのが、日本顎咬合学会である。「顎咬合」というと何やら難しそうな団体を想像してしまう人も少なくないだろう。だから、「顎(あご)」や歯の「咬み合わせ」を専門にしている学会と言えば、わかりやすいかもしれない。油井さんのおかげで、2年前の12月に日本顎咬合学会の俵木勉副会長が、昨年9月には同学会の黒岩昭弘理事長が元気村主催の健康教室で講演し、いかに歯と健康が密接に結びついているかを力説した。

 同学会は10年前、一般向けに解説した『噛み合わせが人生を変える』(小学館101新書)を出版している。しかし、咬むことが認知症や寿命に影響を与えると考えている人はほとんでいなかった。ましてや歯周病と咬み合わせの関係を疑う人も皆無である。知られるようになったのは、皮肉にも新型コロナのパンデミックがきっかけだった。

 最近の英国の報告では、新型コロナで重症化した患者を調査したところ、肥満や歯周病のある人の割合が多かったことが判明しただけでなく、感染リスクも高かったという。また口の中を清潔にするだけでインフルエンザや誤嚥性肺炎の予防になるという研究もあるので、口腔ケアが感染症の予防に効果を発揮しているかわかるだろう。

『長生きしたけりゃ 咬むのが一番!』は油井香代子さんも取材協力しているので、データも豊富である。「咀嚼回数が多い食事」「気をつけたい『だらだら食い』とむし歯をつくる飲み物」「「加齢による変化と病的変化」「下あごの骨の吸収で顔が変化」「体の中で一番汚い臓器は?」「歯磨きは細菌の量を減らすため」「むし歯予防で活躍するガム、タブレット」「ガムで咬むトレーニング」「歯の値段」といった役立つコラムも各所に記載されているので、歯のことをまったく知らない人にも大変分かりやすい構成だ。「人生100年時代」に備えた、まさに一家に一冊のバイブルかも知れない。(山本徳造/本ブログ編集人)


 

【内 容】

■第1章■生涯日が健康な人生の歩み方
【乳幼児期~小児期】
・離乳食の正しい食べさせ方
・「12歳でむし歯』を目指そう
・しっかり咬めれば学習・運動能力が向上する
・毎食後2分でできる「あいうべ体操」
【青年期~中年期】
・親知らずを抜いたほうがいい理由
・咬み合わせを正すと肩こり・腰痛がなくなる
・咬む力がスポーツ選手の成績を左右する
・スポーツするならマウスガードを活用しよう
【中年期・老年期】
・プレクリニカル認知症の予防法
・60歳すぎてむし歯が増える理由
・インプラント、 入れ歯、ブリッジの選び方
・入れ歯を清潔に保つポイント 
・入れ歯は歯科技工士の技術なしではつくれない

■第2章■口腔ケアで病気を遠ざけ健康を取り戻せる
・「悪玉菌」が口の中のトラブルを引き起こす
・むし歯の原因菌は親から子どもに感染する
・「歯周病は万病のもと」という新常識
・口の中をきれいにすると感染症にかかりにくい
・最強の誤嚥性肺炎予防は専門的口腔ケア
・専門的口腔ケアとは何なのか
・インフルエンザの発症率が87%減少した
・ワクチンと口腔ケアで予防効果はさらに高まる
・口腔ケアで入院期間が短くなった!
・歯科衛生士は口腔ケアのプロフェッショナル
・寝たきり患者が歩き出した!
・「長期胃ろう」から食べる医療へ

■第3章■きちんと咬めれば寿命はのびる
・歯を失うと心臓病、がん、肺炎になりやすい
・咬めなくなると唾液が減る
・イグノーベル賞を受賞した唾液の研究
・咬まないと転びやすく、歩けなくなる
・寝たきり予防の第一歩はオーラルフレイル予防
・高齢者のフレイルをチェックする15項目
・咬めないと栄養不足で免疫力が低下する
・100歳まで歩くにはまず口から
・咬める医療で記憶がよみがえる
・咬まないと認知症リスクが2倍に高まる
・咬むとなぜ脳が活性化するのか?
・たくさんの情報が歯根膜から脳に伝わる
・脳が元気になると生きる意欲が高まる
・食べるリハビリで生きる力を取り戻す
・「ロのリハビリ」は医科と歯科の連携が効果的

■第4章■ 歯が健康になれば医療費が減る
・歯科治療が医療費の抑制につながる
・予防医療の最先端は口の健康
・よく咬めばメタボ予防になる
・胃ろう、経管栄養からの解放
・終活に欠かせない歯科医療

 

 

【日本顎咬合学会 (にほんがくこうごうがっかい)】

歯科医療の根幹である 「咬合」 を中心に据える学術団体で、 補綴、 歯周、矯正、保存、小児、口腔外科 、 高齢者歯科等の各専門分野の臨床医、歯科技工士 歯科衛生士で構成される。 臨床を踏まえた顎咬合学と関連する分野の研究を推進し、 その進歩と発展を図ることによって、 歯科医学・医療の向上ならびに国民の健康と福祉に寄与することを目標とする。 1982年に保母須弥也らによって設立され、2023年現在、 会員約8000名を擁する日本最大の臨床医の学会となっている。


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