白井健康元気村

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杖に頼る時が… 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㉖

2021-11-25 05:05:12 | 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㉖

杖に頼る時が…

 

岩崎邦子 

 


 最近杖を付いている人を見かけることが多くなった気がする。先日の衆院選の挙投所に向かう時にも、その思いをしていたが、昼前後の時間帯に駅前辺りを歩いていると、杖を付く何人かに遭遇する。
 そんな矢先、白井健康元気村村民のKさんから、膝の痛みで「杖のお世話に」と題したメールが来た。Kさんはグリーンレンジャー(ボランティアで葛や草を刈る環境保護団体)の一員で、71歳になる。
「え! 私達より10歳以上も若いよね」
 最近の我が家では幸いなことに、二人共元気にしているので、ついつい不遜な言葉が出てしまう。
「あ~そうだ、そうだ、我が家の夫も、私も、杖のお世話になったことがあったっけ」
 すっかり忘れていた。アメリカにいる時は、どこへ行くにも車ばかりの生活をしていたせいか、当時はちょっとしたことで、二人共、ぎっくり腰を起こしてしまい、酷い時には杖にすがったことも。
 68歳で現役生活を終えた頃の夫は、体中のあちこちがボロボロの有様。手術で治った器官もあるけれど、腰痛はかなり重症であった。
 今の我が住まいの集合住宅のエレベーターだが、停まるのは各階ではなく、1、4、7、9階だけ。つまり、6階の我が家は7階で乗り降りしなければならないのである。なので、1階分は階段を利用しなければならない。
 だが、夫は容易に昇り降りが出来ないことがあった。酷いときには息子と私が両方から支えることに。またある時はベッドから起き上がることも出来ず、とうとう救急車のお世話に。シーツにくるまったまま、病院の整形科へと。だが、そこで何の治療も施されることはなく、ただただ安静にして何日か過ごしただけであった。
 腰痛に効くと言われることは、なんでもした。針灸、カイロプラクティック、接骨医など、何回も通っても良い効果はない。整形外科医の腰痛の先端治療とかで「逆さつり療法」を、藁をもすがる気持ちになって、試みたこともある。見るのも痛々しい姿を晒すことになったが、良い結果は得られなかった。
 静かに過ごす日々で少し良くなると、ゴルフ好きの夫はゴルフ練習場に行って、また調子を悪くする。腰痛を直すためには「何より腹筋・背筋の筋肉を強くすること」だという。
 そう言えば、私の右足の踵が痛かった時にも、「脚のヒラメ筋(膝と踵の間)を鍛えなさい」と。筋肉を鍛えることが大事で、それには「まず、歩くこと」だが、アスファルトの上を歩くことでは、余計に痛みが強くなってしまう。
 二人で散歩に出かけた先の公園で、面白そうな競技を見かけた。しばし眺めていると、プレーをしている人に
「道具をお貸ししますから、やってみますか?」
 と、声をかけられた。なんでも「グラウンドゴルフ」というそうだ。誘われるまま、プレーした。
「面白かったなぁ」と夫の弁。私は「ゴルフという名がつけば、良いんだぁ」と、皮肉たっぷり。とはいえ、楽しそうにしている夫の姿を久しぶりに見ることになった。
 早速仲間に入れてもらい、専用のクラブを購入し、めきめき上達した。そしてその仲間から「パークゴルフ」に誘われてからは、我が夫婦はすっかりその面白さ・楽しさに取りつかれてしまった。
 以後、夫は本来のゴルフにも復帰。パークゴルフのお陰か年齢による飛距離の低下も穏やかなようだ。
 用心深い夫はゴルフの時も、少し重い荷物を持つときも、いつもと違った行動をするときも、必ず腰痛ベルトをすることを忘れず、腰を守っている。接骨医にも行って体のメンテナンスも怠りない。
 人生の終わりが来るとき、誰もが思うのは、ピンピンコロリが理想ではあるけれど、年を重ねて、体力の衰えは必ずやって来る。ヘロヘロになって行く我が身、杖の恩恵を受ける時が来るのも、想定できる。
 杖・ステッキの市場を見ると、おしゃれで使いやすそうな、女性用には花柄などの素敵な物もある。それはそれで、楽しい外出になるのかも。
 時折2本の杖を使って歩いている人を見るが、あれはスポーツの一種のようだ。「ノルディック・ウォーキング」は、ポール(杖)を2本持って歩く、生涯スポーツで有酸素全身運動。「ポール・ウォーキング」も、ポール2本を持って歩く高齢者に効果的なスポーツだとか。
 似て非なるこの2つのウォーキングだが、どこが違うのか。ポールの底の作りと、持ち手の所に明らかな違いがあり、その歩き方も、ネットでモデルの実技を見ていると、はっきりしているのだが……。
 ノルディック・スキーは、冬のオリンピックで見るが、名の通りノルディック・ウォーキングは、やはりポール・ウォーキングポールより、ハードなようだ。
 ということで、高齢者向けにはポール・ウォーキングが向いているらしく、近くの公園など、少し高低差があるくらいの所を歩くのに適しているらしい。
 車の免許を返納すれば、今は謳歌しているパークゴルフに出かけるのも難しい問題となる。杖を使った生活の仕方も、楽しみ方も、あながち捨てたものでもないのかも。

 

 

【岩崎邦子さんのプロフィール】 

昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。


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