腹黒ですが、何か?

~ 書きたいこと、書かせていただきますわ ~

【映画】ストロベリーナイト

2013-02-01 | 映画
             
1/30(水)、映画「ストロベリーナイト」を観た。年末に、原作「インビジブルレイン」を読んだので、映画がどのようなものになるか楽しみにしていた。個人的には、原作の方が好きだった。原作の方が、姫川の心の揺れ動く描写やちょっとした行動が、人間くさく丁寧に表現されていて、すぐに惹き込まれた。映像だけでは、あの心理描写を表現するのは少し難しいだろう。このシリーズでは、刑事ドラマとして奇抜な事件解決を見せるのではなく、様々な心の闇を切なくダークに表現するところがポイントだと思っている。だからこそ、原作の方が良いと思った。

Yahoo! movie
-----------------------------------------------
             
この物語を、刑事ドラマとして見るか、人間ドラマ(恋愛ドラマ)として見るかは人それぞれだと思う。ただ、刑事ドラマとして見ると、少し物足りないかもしれない。人間ドラマ(恋愛ドラマ)として見た場合、以下、私の備忘録として書かせていただきたい。映画と原作の違いと、私が描いて欲しかったシーンを記録しておく。【ネタばれ】となるので、もし読んでる方がいたら注意してほしい。

◆映画と原作の違い①◆(車のシーン)
原作では、姫川と牧田の関係は一線を越えていない。
→原作では、姫川の心理描写が非常にリアルにエロティック書かれている。車から逃げ出すことを考えながら、刑事である自分の行動に迷いながら、車の中に居続けることを選択した姫川の心の葛藤は、読み応えがある。原作では、牧田との関係は一線を越えていない。ことの後、牧田の行動や姫川の態度がとても純な感じに思えた。でも、映画では、いとも簡単に一線を越えてしまっている。映画用だからか?、、そんな簡単に描いて欲しくなかったのだが。

■原作■描いて欲しかったシーン(車のシーン)
牧田「俺は、どこでもいいよ…二人きりになれるところなら」
(姫川)逃げようと思えばそのときに逃げられた。でも、そうはしなかった。玲子は自分でもよく分からないまま、逃げないことを選択していた。
自分がどうなってしまうのかを見たくなくて、でも目をつぶったら、許したことになのは分かっているのに、それでも、目を閉じてしまった。
もう、駄目だー。どんどん力が抜けていく。この状況を解消しようとする意志が、止めようもなくなえていく。

… 略 …

牧田「送ってってやるよ」
(姫川)あ、そうなんだ。
牧田「たまには、おあずけ喰らう気分も…いいもんだ」
(姫川)へぇ、そうなんだ。牧田って、そういう人なんだ。
(牧田)送ってやるというと、姫川はちょっと驚いた顔をしたが、すぐ、嬉しそうに笑みを浮かべた。そんな、子供みたいな顔をするなと、憎らしく思った。

■原作■描いて欲しかったシーン(柳井のアジトを探すシーン)
姫川「牧田さん、ずいぶん濡れちゃいましたね。」
牧田「ああ。傘は一番デカイのじゃないと駄目なんだ」
(牧田)姫川がバッグからハンドタオルを出して、肩と袖を拭いてくれた。この女が、刑事じゃなかったらー。どうしても、そんなことを考えてしまう。

■原作■描いて欲しかったシーン(柳井のアジトで)
姫川は、ふっ、と息を吐き、肩から力を抜いた。もとに戻っていた。初めて会ったとき、新宿で左眉の傷を診てくれたとき、車の中で炊きしめたときの、姫川玲子に。
姫川「だから…お願い。今日は、帰って」
思わず、牧田も息を吐き出した。

このちょっとした行動に対して、刻々と示される心理描写に惹きつけられる。あぁ、こうして、だんだんと二人の距離が縮まるのだなぁと、、人間ドラマ(恋愛ドラマ)としてはそう読めた。
-----------------------------------------------
             
◆映画と原作の違い②◆(最後の告白のシーン)
原作では、姫川は、牧田に「好きだった」と言葉で伝えている。
→原作では、好きだった思いを言葉で伝えている。牧田が犯人であるような事実ばかりで、刑事としての疑問を払拭できず、牧田を信じたい気持ちと葛藤している姫川がまた痛々しく、読み応えがある。

■原作■描いて欲しかったシーン(最後の告白のシーン)
彼女は、歯を食いしばり、俯いた。癖のない髪が、肩からはらりと、前に落ちる。
姫川「…好きだったのに……信じてたのに」
聞こえるか聞こえないかの、か細い声だった。でも、牧田には分かった。一番聞きたい言葉だった。一番、彼女にいわせたい言葉だった。でもそれは、こんな場面でではなかった。

■原作■描いて欲しかったシーン(牧田が刺されたシーン)
目を開けてよ。ねぇ、牧田さん。目を開けて、あたしを見てよ。
姫川「いや……イヤ、イヤ」
(姫川)お願い。やめてよ。こんなの嫌だよ。あたしが、あなたを疑うようなことをいったから、だから、それで意地悪してるんでしょう、仕返ししてるだけなんでしょう。ねぇ、謝るから。疑ったことは謝るから、許してよ。あたしが欲しいんでしょ。いいから、もう、あなたの好きにしていいから。だから、許してよ、牧田さん。お願い。その手で、またあたしを、抱き締めてよー。

以上、ファン視線の備忘録。ファンとして、記憶しておきたい事はたくさんあるが、あとは余韻に浸っておこうと思う。ただ、ファンでない人や刑事ドラマを観たかった人には、微妙な映画だったかもしれない。映画は、自分の好きな映画を見るのが一番だと思う。

最新の画像もっと見る

post a comment