秋の初め、ななかまどの実がまだ薄いオレンジ色の頃から秘かに期待していた光景をようやく見ることができた。11月下旬にしては暖かい日が続いていたが、月末に至って忘れていた季節を思い出したように、前日の午後から降り出した雪が明け方まで降り積もった。
カーテンを開けて、伸びをしながら庭に向けた目に眩しい光が跳ね返る。冬囲いの済んだ庭木や雀の餌台、軒下に重ねた空の鉢などの上を結晶を集めた羽毛のような牡丹雪が被い尽くしていた。風のない夜に降った雪は、街路樹の小枝や電線にも白い毛糸のように積もっていた。初冬の朝、ななかまどの実は赤い宝石が房をなしているように美しい。その赤い房の上に牡丹雪が積もっているのだ。この季節に、最も美しく感じることのできる自然の一こまだ。純白の美しさが、赤い木の実に映えて一層際立っている。