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六角堂 ~京都人に愛され続ける、いけばな発祥の寺

2017年12月19日 | お寺・神社・特別公開

京都の中心「へそ石」

 

 

六角堂(ろっかくどう)は、永らく京都人にとって「町の中心」と認識されている。烏丸六角にあるため現代の地理概念でも確かに中心で、昔の本堂の礎石として残された「へそ石」が、京都の中心の象徴として親しまれている。「町堂」と呼ばれ、町の集会場のような役割も長らく果たしてきたことも「中心」と言われる所以だ。祇園祭の山鉾巡行の順番を決めるくじ引きは、現在は京都市役所の議会場で行われているが、江戸時代までは六角堂で行われていた。またここは日本の華道の原点でもある。今に伝わる京都や日本の文化の形成にかけがえのない役割を果たしてきた寺である。

 

六角堂は正式名称を「頂法寺(ちょうほうじ)」という。六角形の本堂の屋根に因む通称がいつしか定着し、門前の通り名までもが「六角通り」になった。京都は通称の方が有名な寺が多い。千本ゑんま堂(引接寺)や真如堂(真正極楽寺)など著名寺院も少なくない。面白いことに「通称寺の会」というホームページまで作っている。トリビアが深まること間違いなしだ。

 

京の通称寺 公式サイト

https://tusyoji.wixsite.com/tusyojinokai

 

 

日本の華道は外国から伝来したものではなく、頂法寺の僧侶が仏前に花を供えていたことを源流とする日本独自の芸術だ。室町時代には頂法寺の本坊である「池坊(いけのぼう)」の僧侶がいけた花の美しさが評判になった。戦国時代には専応(せんおう)が「いけばな」理論を体系化した後、江戸時代初期に32世家元・専好(せんこう)が後水尾天皇に重用され、華道家元としての地位をゆるぎないものとしている。

 

池坊家は現在も華道家元と頂法寺住職を兼ねており、寺に隣接するビル・池坊会館が日本最大最古の華道家元「池坊」の本部でもある。池坊会館内には「いけばな資料館」があり、日本の華道の歴史をしっかりと学べる。行事も「花」にちなんだものが年を通じて行われており、美しい着物で着飾った華道関係者の人波が京都の町の中心に彩りを添える。

 

【公式サイトの案内】 いけばな資料館

 

 

 

六角堂は聖徳太子が念持仏の如意輪観音像をこの地でお堂に納めたことが発祥とされ、以来庶民の観音信仰の寺として親しまれてきた。京都で一般市民が住む市街地は、現在の西陣付近の「上京(かみぎょう)」と、現在の三条~四条通付近の「下京(しもぎょう)」の2地区に江戸時代のはじめまで永らく集約されていた。六角堂は少し南の烏丸松原にある因幡堂(平等寺)と並んで、下京地区の代表的な「町堂」であり続けている。

 

「家元」から連想させる「敷居の高さ」は全く感じさせない。観音信仰により、市井の人々が祈る場を長らく維持してきたことで愛されているのだ。

 

 

 

日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさんある。ぜひ会いに行こう。

 

ディープな京都をプロのガイドが紹介 

 

 

六角堂(正式名称:頂法寺)

http://www.ikenobo.jp/rokkakudo/

原則休館日:なし

※仏像や建物は、公開期間が限られている場合があります。

 

 

 


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