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京都の桜は平野神社を見ないと半人前_醍醐寺と並ぶ花見の二大名所

2019年03月16日 | 祭・行事・季節の花

京都・北野天満宮のすぐ近くにある平野神社(ひらのじんじゃ)は、京都人では知らぬ者がいないほどの桜の名所です。

  • 桜の種類が多く1か月の長きにわたって花見が楽しめる
  • 背の高い桜の木が多く、桜の花のドームの中にいるような圧巻の空間は平野神社の桜の特徴
  • 開花期間中行われる夜桜のライトアップはことさら美しい
  • 桜の花の下には茶店が立ち並ぶ、桜のシャワーを浴びながらグルメが味わえるのは実に風流


全国的に有名な醍醐寺も、桜の種類が多く花見期間が長くなっていますが、こちらは枝垂桜の枝が水平方向にうねりを見せるダイナミックさが売り物です。平野神社と醍醐寺の両方の桜を体験することで、京都の桜の真骨頂を味わうことができます。



平野神社は奈良時代末期に平城京に祀られていた主神を、桓武天皇が遷都に伴って平安京に遷座したとする創建伝説が伝わっています。平安時代には二十二社の一つとして高い格式を誇り。天皇の行幸も相次いでいたようです。平安時代半ばに花山(かざん)天皇が桜を手植したのが、平野神社の桜の始まりとされています。平野神社の紋は桜であり、北野天満宮の梅のように、強い思い入れのある花なのです。

中世には荒廃していたようですが、江戸時代初めに現在の本殿が造営され、再興されます。江戸時代には「平野の夜桜」の人気が庶民にも定着したようです。


比翼春日造の本殿の屋根が美しい

平野神社の祭神は4つあり、ご神体を収める春日造りの祠は4つありますが、2つずつ連結されて横に並ぶ珍しい作りです。比翼春日造(ひよくかすがづくり)、もしくは平野造(ひらのづくり)と呼ばれます。屏風(びょうぶ)で言う二曲一双のような配置で、回廊の上に本殿の屋根がペアになって並んでいる独特の景観を味わうことができます。

境内は、桜をさておいても、とても華やいだ雰囲気です。近隣の北野天満宮とよく似ています、平野神社もたくさんの人々から信奉を集めていることがわかります。



【ジョルダン 花見特集2019】平野神社

境内には大きな茶屋が設けられていますが、歩きながら桜を楽しめる散策路も設けられています。境内は決して大きくないですが、散策路は茶屋の間をぬうように迷路のように設けられています。じっくり歩くと結構な時間になります。桜を堪能してもらうための演出でしょう。

神社の公式サイトで、多様な桜の品種を紹介しています。色や花びらの形の違いが楽しめるほか、開花時期の違いも確認できます。胡蝶(こちょう)という品種もあり、絶妙のネーミングにふさわしい風格があります。

【神社公式サイト】平野神社の桜



境内では4軒の茶店が開花期間中、営業しています。境内は、茶店以外は飲食禁止です。特に夜桜の場合は吸い込まれるように花見客が茶店に入っていき、花見酒を楽しんでいます。京都の桜の名所は寺社の境内にあることが多く、花見酒は茶店で楽しむのが一般的です。公共の公園に名所が多く、自由にゴザを引いて花見酒を楽しむスタイルが中心の東京とは、やや趣が異なります。

【平野神社公式サイト】桜茶屋の案内

まさに桜の花の真下に茶屋の席が設けられています。桜の花びらのシャワーが美しい日中、ライトアップされて花びらがキラキラ輝く夜、いずれも”日本に生まれてよかった”と感じる至福の時です。

開花期間が長いため、日を変えて訪れるのもおすすめです。開花している品種が異なることから、また違った風情が味わえます。こうしたテクニックは、平野神社でないと駆使できません。



今年2019年の平野神社の桜は、例年に比べ少し痛々しい光景を目にすることになります。昨年2018年9月に関西空港を水没させた猛烈な風台風の被害が残っているためです。京阪神の道路や寺社では、おびただしい数の木が風でなぎ倒されました。

平野神社も拝殿が倒壊するなど、現在も復興の真っただ中です。だからこそ平野神社で花見をし、賽銭・茶店の飲食・檜皮奉納・寄付など、お金を落とすことが大いに復興に役立ちます。神社も支援を呼び掛けています。

【平野神社公式サイト】台風21号の被害による復興のご支援につきまして

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



平野神社の多品種の桜の特徴をきちんと理解

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平野神社
【公式サイト】 http://www.hiranojinja.com/

入館(拝観)受付時間:6:00~17:00
※桜開花期間は21頃までライトアップが行われ、境内に立ち入ることができます。

※毎年3月25日ごろから4月20日頃にかけ、桜の開花状況に合わせ、境内で桜茶屋が営業します。
※境内では桜茶屋以外での飲食は禁止されています。
※境内の拝観・見学に条件はありません。いつでも無料で拝観・見学できます。



◆おすすめ交通機関◆

JR嵯峨野線「円町」駅下車、北口から市バスに乗り換え「衣笠校前」下車、徒歩3分

JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→JR嵯峨野線→円町駅→西ノ京円町バス停Eのりば→市バス15/204/205系統→衣笠校前

【公式サイト】 アクセス案内

※京都駅から直行するバスもありますが、鉄道とバスを乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には無料の駐車場がありますが、桜期間中は使用できない場合があります。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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