京都盆地の西北のはしっこ、御室（おむろ）にある転法輪寺（てんぽうりんじ）は、通称の御室大仏の方が名前をよく知られています。普段非公開ですが、京の冬の旅でまもなく特別公開されます。
- 本尊の阿弥陀如来は木造の坐像では京都最大、奈良の大仏の半分くらいあってかなりの迫力
- 京都ではかなり新しい江戸時代半ばの創建だが、念仏道場としてしっかり親しまれている
大仏以外には、東南アジア仏のように上半身裸の仏像もいらっしゃいます。竜宮門もあり、ほっこりしてユニークな境内です。創建された時代で寺の趣が異なるのは、とても興味深いものです。
転法輪寺の創建は、江戸時代半ばの1758（宝暦8）年です。現在の御室ではなく、北野天満宮のすぐ南のあたりに、浄土宗の僧・関通上人（かんつうしょうにん）によって創建されました。転法輪寺は現在も開祖の名「関通さん」としても呼ばれています。
7.5mある巨体の本尊も創建の頃の造立です。桜町天皇の追福を祈願したと伝えられており、大きさをふまえても、関通上人には有力な支持者が多くついていたと考えられます。
転法輪寺が現在の御室に移転したのは1928（昭和3）年です。宅地化していた北野では、境内の拡張の余地がなく、阿弥陀如来を祀るにはより西方の方がよいという考え方をしたようです。
【転法輪寺公式instagramの画像】 本尊・阿弥陀如来
本尊の阿弥陀如来は大きさもさることながら、平安時代の定朝様式のようなふくよかなお顔が目に留まります。いかにも極楽浄土へ導いてくれるような包容力を感じさせます。このお顔なら人気が出ることは納得いきます。とてもわかりやすいのです。
【転法輪寺公式サイトの画像】 裸形阿弥陀如来
本尊の背後の厨子の中に、裸姿の阿弥陀様がいらっしゃいます。奈良時代に天智天皇の母が誕生を祈った際に、夢の中に現れた裸の子供姿の阿弥陀様を造立したという逸話があり、安産にご利益があると親しまれています。日本ではとても珍しい姿とポーズをしています。この仏様の由来について、より知ってみたくなります。
【転法輪寺公式サイトの画像】 鐘楼門
鐘楼門（しょうろうもん）は、龍宮門（りゅうぐうもん）の上に鐘楼がのせられた門です。転法輪寺の鐘楼門はとても立派です。白い漆喰の円形のゲートが美しく、存在感があります。鐘の大きさが大きいためで、寺の人気がうかがえます。
とても親しみのある境内です。両隣の仁和寺と龍安寺にはない”ほっこり”感が何より魅力です。
こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。
京育ちのイラストレーターによる濃厚な地元紹介
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
第53回 京の冬の旅
非公開文化財特別公開 ～秘められた京の美をたずねて～
転法輪寺
【主催者による特別公開公式サイト】
主催：京都市観光協会
会場：転法輪寺
会期：2019年1月10日（木）～3月18日（月）
原則休館日：1/20
入館（拝観）受付時間：10:00～16:00（1/27は11:00～、2/24は13:00～）
※この特別公開は定期的に行われるものではありません。
※この寺は観光目的では常時公開されていません。
※2014年以降は毎年10月頃に行われる京都の浄土宗寺院の特別公開に毎年参加し、公開しています。
【浄土宗京都教区公式サイト】 平成30年度 京都浄土宗寺院大公開
転法輪寺
【公式サイト】 https://tenpourinji.com
◆おすすめ交通機関◆
京都市バス「御室仁和寺」バス停下車、徒歩8分
京都市バス「塔の下町」バス停下車、徒歩5分
京福電鉄北野線「御室仁和寺」「妙心寺」駅下車、徒歩12分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安：50分
京都駅→地下鉄烏丸線→今出川駅→市バス59系統→塔の下町
【公式サイト】 アクセス案内
※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄とバスを乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
→ 「美の五色」とは ～特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal
