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10歳の少女・更紗は、引き取られた伯母の家に帰ることを躊躇い、雨の公園で孤独に時間を持て余していた。そこに現れた孤独な大学生の文は、少女の事情を察して彼女を自宅に招き入れる。更紗は文の家でようやく心安らかな時を過ごし、初めて自分の居場所を手にした喜びを実感する。しかし2ヵ月後、文は誘拐犯として逮捕され、2人の束の間の幸せは終わりをつげる。15年後、恋人の亮と同棲生活を送っていた更紗は、カフェを営む文を偶然見かける。
映画館 ★★★★
原作をほとんど変えることなく、少ない登場人物で2時間半の長編をじっくり見せてくれました。なんといってもヒロインの子どもの頃の役を演じた白鳥玉季のその「魔性の女」って感じはとても良かったです(笑)顔が広瀬すずとよく似てるんです。なので何度も過去と現在と場面が行き交いますが、一瞬どっち?って感じになりました。
原作には主人公2人の子供の頃がたっぷり描かれていましたが、原作を読んだときにも書いたようにこの物語は4人の母親が出てきます。ヒロインの母親は、若くして夫を亡くし、ヒロインを姉に預け新しい男の元で暮らす女。ヒロインの育ての母は、厄介者のヒロインを邪険に扱い、また自分の実の息子(ヒロインよりも数歳年上)を盲目的に愛する女(これはもちろん当然ですが)。主人公の母親は息子に対してとても威圧的で精神的なトラウマを与え続けてきた女(内田也哉子)。ヒロインのパート仲間の女は、バツイチだけど、新しい男ができたら我が娘をヒロインに預けて男と旅行に出かける女(趣里)。ヒロインの産みの母、育ての母は映画には登場しませんが、4人の母親がめちゃひどい女達なんです。
10歳の女の子と大学生は、お互いの境遇をわかりあい、一緒に暮らすことになるのですが、もちろん「未成年誘拐」なのは当たり前で、その実情は二人にわからない話なわけで、ヒロインの同棲中の彼氏(横浜流星がムカつくくらいの好演)はDVを繰り返しては、自殺未遂を図ったりするどうしようもない男で、主人公の男に指一本触れてもらえない女(多部未華子)が唯一とても可愛そうな女でしたね。
大人の女を愛せない。。。そういう意味ではホンモノのロリコンの彼なんだろうけど、その理由を初めて知ったヒロインと今後も純愛を貫けるという、ハッピーエンドの映画だと思いました。
撮影監督は韓国映画の「パラサイト」のホン・ギョンピョでしたが、とても綺麗な映像でした。
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