「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
もう20数年ほど前のことになりますが、ダウン症児の早期プログラムを実践し世界的に普及されたv.ドミトリーブ先生を研究所にお招きして講演会を行ったことがあります。講演の中で、教室のダウン症の生徒さん(4才位だったでしょうか)が
ステージに上がって、先生にプログラムのひとつを実践していただきました。
課題は、積み木をカップに入れることだったか、なにかものを取り出すことだったかは忘れてしまいましたが、はじめての子どもに対してもまるで前からよく知っている子どもであるかのような対応ぶりで、先生の優しいまなざしと子どもさんのかわいらしさだけが今も印象として残っています。ほんの数分ですが、広い会場のステージに作り上げられた、先生と子どもさんのあたたかい世界が記憶の中に浮かんできます。
その先生がおっしゃったことで、今でも日々の授業の中で思い起こされることがあります。それは、課題に対して子どもが失敗しないように指示をしましょう、ということです。
たとえば色の取り出しで、赤・青・黄・緑の4つの積み木を並べて、「○色の積み木をください」という課題があります。その時にまず、一つずつ積み木を指で触れながら、そして子どもの視線を確認しながら、「これはあか」、次の積み木に触れながら「あお」、次の積み木に触れながら「きいろ」・・・といっしょに確認をしていきます。そして、さいごに確認した色の取出しからさせるのです。
「これは、あか、あお、きいろ、みどり。さあ、みどり ください」という具合に。
数の学習においても、文字の学習においても同じことです。基礎学習に限らず、教科の学習やその先の学習についても言えるでしょう。熱心になるがゆえに、「これは?」とか「どっち?」とか「よく考えて!」とか迫りがちですが、ことに「学習」というもの自体への導入の段階では、ゆっくりとじっくりといっしょに課題にとりくんであげましょう。ものを並べたり、入れたり、取り出したり、ものの操作をいっしょに行ってあげましょう。しだいに手は添えなくても、気持ちはいっしょに行ってあげましょう。
ことばよりも態度とまなざしで指示をしていきましょう。先ほどのステージでの子どもさんとのコミュニケーションも日本の子どもに対して、先生は英語でなされたのですから。
造形リトミック教育研究所
>>ホームページ http://www.zoukei-rythmique.jp/
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