イヴァン雷帝 アンリ・トロワイヤ著 工藤庸子訳 中央公論社
この著者は、『大帝ピョートル』『エカチェリーナ2世』『アレクサンドル1世』などロシア皇帝の伝記をよく手掛けています。
イヴァン雷帝ことイヴァン4世は、帝政ロシアの基礎を気付いた人物で、また後継者の息子を殴り殺したことでもよく知られています。
この本で一番印象深かったことは、ドモストローイ(家庭訓)という本が紹介されていることです。
ドモストローイは、イヴァン雷帝の初期の補佐役であったロシア正教の司祭シルヴェストルが書いた本です。
当時はもとより、その後も長い間にわたって、日常生活の手引きになったとされるこの本には、料理の作り方や家計管理のやり方、対人関係のマナーや、旅行をするときの注意点など、多岐にわたる内容が網羅されていたようです。
日本語訳の本が出ていないかネットで探しましたが、残念ながら見つかりませんでした。
ロシアの歴史や文化は、アジアともヨーロッパともちがう複雑怪奇な感じがして、それはそれで魅力的ではありますが、イヴァン雷帝の生涯については、何か後味の悪い印象を受けました。
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