私は、スペイン語を少しだけ話せる。ポルトガル語に関しても同様だ。両方とも、体系的な学習をしたことはほとんどないが、スペインや中南米を旅行する経験を積み重ねているうちに、旅行に支障のない程度には会話ができるようになった。しかし世間話などはできないし、動詞の活用を無視するなど、文法はメチャクチャである。
以上のような理由により、言葉に関して特別な準備は何もしなかった。現地へ行けばかつての経験を思い出して何とかなるだろうと考えたからであり、前回この国へ旅行した20年前に購入している『ひとり歩きの4ヵ国語会話 自遊自在 ヨーロッパ編2』(JTB日本交通公社出版事業局、1993年)を持っていったくらいである。この本は英・仏・西・葡の4言語に関する会話集だ。
私はポルトガル語よりスペイン語についての方が、はるかに多くの語彙を持っている。これらの言語は、どちらもラテン語に起源を持つロマンス諸語の一つなので、互いによく似ている。さらに隣国同士という地理的な事情もあり、ポルトガルでスペイン語を話しても十分通じるようだ。しかし両国の歴史的な経緯を見ると、ポルトガルはスペインから独立したり併合されたりしており、様々な面においてスペインはポルトガルに対して優位に立っている。スペイン語の方が得意だし、ポルトガルでも通じるからといって、それだけで押し通してしまうのはいかがなものかと思われた。私は可能な限りポルトガル語を使うよう心掛けた。
ところでブラジルの旧宗主国はポルトガルであり、そこではポルトガル語が使われている。しかしそれは違うものへ変化してしまっていて、まるで“ブラジル語”と呼ぶ方がいいのでは思えるくらいのようだ。旅行者でも分かる両者の明確な違いは、発音である。例えば有名な言葉「サウダーデ」は、ブラジルでは「サウダージ」となり、バスターミナルを意味する「ロドビアリア」は「ホドビアリア」となる。これらの比較とは少し意味合いが異なるが、「リオデジャネイロ」は、ブラジルでは「ヒオジジャネイロ」とか「ヒオデハネイロ」と発音する人もいる。私はブラジルを約2か月にわたって旅行したことがあり、そのためすっかりこの“ブラジル語”に慣れてしまった。今回はできるだけブラジル式の発音ではなく、ポルトガルでの発音を使うようにした。
次項のポルトガル旅行4から旅行経験を記述していくが、その中で現地の人々と会話した様子を書くこともある。その際は可能な限り、実際に自分が喋ったとおりのものを記していこうと思う。文法が間違っていたり、スペイン語が混入したりしていても、できるだけ口にしたとおりのものを書く。それにより読むかたがたが、次のような効果の得られることを期待するからである。
・私よりポルトガル語、スペイン語の運用能力が劣るかたには、「この場合は、こういう言い方をするのか」や、「この言い方でも、現地の人に通じるのか」などというように、新たな発見をしていただく。
・私よりポルトガル語、スペイン語を高度に運用するかたには、「こいつ、こんな言い方してやがる」と私を見下して、優越感に浸っていただく。
以上のような理由により、言葉に関して特別な準備は何もしなかった。現地へ行けばかつての経験を思い出して何とかなるだろうと考えたからであり、前回この国へ旅行した20年前に購入している『ひとり歩きの4ヵ国語会話 自遊自在 ヨーロッパ編2』(JTB日本交通公社出版事業局、1993年)を持っていったくらいである。この本は英・仏・西・葡の4言語に関する会話集だ。
私はポルトガル語よりスペイン語についての方が、はるかに多くの語彙を持っている。これらの言語は、どちらもラテン語に起源を持つロマンス諸語の一つなので、互いによく似ている。さらに隣国同士という地理的な事情もあり、ポルトガルでスペイン語を話しても十分通じるようだ。しかし両国の歴史的な経緯を見ると、ポルトガルはスペインから独立したり併合されたりしており、様々な面においてスペインはポルトガルに対して優位に立っている。スペイン語の方が得意だし、ポルトガルでも通じるからといって、それだけで押し通してしまうのはいかがなものかと思われた。私は可能な限りポルトガル語を使うよう心掛けた。
ところでブラジルの旧宗主国はポルトガルであり、そこではポルトガル語が使われている。しかしそれは違うものへ変化してしまっていて、まるで“ブラジル語”と呼ぶ方がいいのでは思えるくらいのようだ。旅行者でも分かる両者の明確な違いは、発音である。例えば有名な言葉「サウダーデ」は、ブラジルでは「サウダージ」となり、バスターミナルを意味する「ロドビアリア」は「ホドビアリア」となる。これらの比較とは少し意味合いが異なるが、「リオデジャネイロ」は、ブラジルでは「ヒオジジャネイロ」とか「ヒオデハネイロ」と発音する人もいる。私はブラジルを約2か月にわたって旅行したことがあり、そのためすっかりこの“ブラジル語”に慣れてしまった。今回はできるだけブラジル式の発音ではなく、ポルトガルでの発音を使うようにした。
次項のポルトガル旅行4から旅行経験を記述していくが、その中で現地の人々と会話した様子を書くこともある。その際は可能な限り、実際に自分が喋ったとおりのものを記していこうと思う。文法が間違っていたり、スペイン語が混入したりしていても、できるだけ口にしたとおりのものを書く。それにより読むかたがたが、次のような効果の得られることを期待するからである。
・私よりポルトガル語、スペイン語の運用能力が劣るかたには、「この場合は、こういう言い方をするのか」や、「この言い方でも、現地の人に通じるのか」などというように、新たな発見をしていただく。
・私よりポルトガル語、スペイン語を高度に運用するかたには、「こいつ、こんな言い方してやがる」と私を見下して、優越感に浸っていただく。