成長のバトンを受け取った老いは
それでも走る事をあきらめず
一歩一歩確実に進もうとする
時間の重さが足かせになっても
雨風が行き先をはばんでも
年輪の厚着に寒さをしのぎ
足跡の深さで道をならす
思い出は順番を守り
しあわせの笑みを教えてくれる
その道のりに
同じ匂いがあったこと
同じあたたかさがあったこと
覚えたままで明日も来るから
はじめてのいちにちを笑顔で迎えて
夢から醒めても
どちらが夢か分からない時
眠っているはずの映像が
やたらリアルで鮮明で
寝ぼけまなこの朝の光が
神々しくて眩しくて
どちらが夢か現実か
すぐに判断出来なくても
答えはすでに決まっている
願望で包まれた方が夢であり
チクリと傷む現実もまた然り
希望と言う名に置き換えて
さっきの夢を思い続けたら
どちらも夢で現実になる・・かな
分かれ道
案内板に書かれた文字に
迷うことなく先を決める
後ろに並ぶ吐息の圧が
瞬間の判断をかき消しても
自分で決めた呪文を唱え
これでいいよと心に聞かせる
天の声は風がさらった
光の道は雲がかくした
それでも続く道が見えるなら
こんな痛みも無駄じゃない
こんな弱さも強みになる
人によって向きを変え
乱反射で目が眩む
隠すつもりはなくっても
ごまかす術を身に付けて
護身術はフル稼働
つまりはどれも偽物で
本体さえも変化する
次と言う場所があるのなら
誰でも一度は夢を見る
ためらいを反動に踏み出して
また違う自分に出会っても
相手の目にはたったひとり
出会いの高さで温度も決まる
最初の向きが正当な正面になる
急に近付いたり離れたり
会話の重さも心の比重も
思うがままに投げられて
ふらふら空を見上げては
前後左右に行ったり来たり
手元の真意を見失う
一方通行の危うさを
やさしい合図で示しても
伝わる距離を超えていた
いつかとそのうちに を
期待しながら向かい合う
無数に絡む縁の糸
ほどく根気と忍耐と
手繰り寄せる力加減を
探りながら空を仰ぐ