その一瞬に名前を付けるとしたら
「笑顔」
陽だまりに咲く花
あくびしそうなけだるい午後
居眠りしても水平に浮かぶ雲
心から笑える
思わず声が出る
記憶の中にある風景でも
目の前を走る風の声にも
暗い空気が降ってきたら
心の中に傘をさす
誰かが見てる
悲しませたくない
一生懸命が悲鳴をあげないように
おもりが心の底に沈まないように
涙が頬を濡らしたとしても
頭で笑う
笑顔を伝える
覚えたての呪文を唱えよう
やっぱり好きで良かった
隣同士でも知らない温度がある
横顔は見えるけど瞳の色は見えず
白い息は上がるけど流れる汗は拭えず
言いたい言葉は雑音にかき消され
張り詰めた空気がバリアを張る
それでもいいと思っていた
隣同士になれなくても
隔てる温度が冷たくても
この場所でこのままで
見える高さで背筋を伸ばして
空が泣くのは悲しいからじゃない
必要なもの要らないもの
好きなもの嫌いなもの
得意なもの苦手なもの
すべて誰かに当てはまり
すべて何かのためにある
自分の後ろは見えなくても
君の後ろをいつも見てる
自分の顔は見えなくても
君の顔はいつでも見える
向こう側とこちら側
空と海表と裏心の奥
この涙は悲しいからじゃない
どうしてとかどこがと聞かれると
考えてはみるけどハッキリしない
そんなことたくさんあるよね
全部とかいつの間にかとか
範囲のない言葉でごまかし
後でゆっくり考えてみる
けれど考え始めた段階で
理由は消え去り答えはなくなる
そんなことたくさんあるよね
その人だけの心の中を
見せて教えてと言われても
何処にあるかも分からない
分からないから知りたくなって
知りたくなったら気になる心
ここはどこだろうとか
自分は何だろうとか
思わず知らず疑いもせず
ただ眩しい世界を知る
そうやって花は咲き鳥は飛び
小さな流れは大海を目指す
大地は踏ん張り木々を支え
豊かな緑で恵みをもたらす
今日を明日に繋げながら
温もりを求め絆を深め
ただ目の前の時を掴みながら
昨日までを大切に大切にする