自立していた猫、モネ
モネが逝ってから早や1年。
ペットロスに襲われるだろう、と思ったのですが、思い出話の後には必ず
「気難しい猫だった・・・」。
いつも座を支配していたのにどうして1番にこだわる? 多分TVの影響。
突然不機嫌になって足音荒く隣の部屋に移る。カ-ペットの上なのに。
ガックリと肩を落として落ち込む。居間の真ん中、衆人環視の中で。
「分かった、分かった。モネは猫と人間の中で1番だから。モネは宇宙一だからね」。
とある日言うと、明らかに、露骨に、自立した猫として振舞い始めた。だから
膝には乗らない(家猫が自立してどうする)。
秋晴れのその日は、庭中に越年蜻蛉が湧き上がり溢れかえるように飛び交い、
さらに次々と現れてはモルタルの壁一面に停まり始めました。
見た事のない光景でした。
前の日まで、その日の朝まで元気だったのに、静かに心臓が脈を打つのを止め
モネは永眠しました。
1番のモネは19才と7ヶ月。 (10月)
モネを見送って、数日後の朝、
居間のソファのいつもモネの座っていた場所に窪みが出来ていました。
一時は8kg近くあったその頃のままの降り立った後にのこるスプリングのソファの窪み。
あれは何だったのか、そう思いたかったからなのか。
モネのいない2度目の雪の季節が始まろうとしています。(2016・11・21)
記憶の窓から
ある時、アイスを食べようと猫の小皿も用意してやると、国産でないと知ったとたん
身を引いた。アイスは大好物の筈。
疑わしそうに人間が食べるのを見てから恐る恐る舐め始める。
一度も動物病院のお世話になっていない健康オタク猫のモネは最後までピカピカに
尖ったきれいな白い歯をしていた。
人間を毒見役にする猫なんて・・・。
記憶の窓から訪れるモネにいつもクスリとさせられる。(2017・1・14)