拡散する色彩群に囲まれて
偶然ですが、福田定良氏の「私と哲学とのおかしな関係についての告白」を読んでいると、「芸術の性格が西洋的であるのに対し、大衆芸能の多くは伝統的な芸能として民衆に親しまれやすい要素を持っている。---中略---彼らの関心の内容を明らかにすることが出来れば芸術を彼らにとって面白い芸術とする道もおのずから明らかになる筈である」との文章に出合いました。この本はさまざまなことを思い浮かばせてくれました。
根源的な生の不安を表現したムンクの「叫び」が数年前人形になって若者たちの間でブ-ムになりました。ムンクの芸術のテ-マが時を経て人々に共鳴された現象です。
昨年私は砂川出身の歌手金田たつえさんのCDのジャケットのイラストデザインとタイトル文字の仕事を致しました。民謡から演歌へ転身した金田たつえさんの声は鳩尾に響くと演歌に無縁の人々の心をも揺さぶりました。
理解されたい、と表現者は思い詰めますが、またその努力はしなければならないものですが、今を生きることに心を向けることでいいのではないか、年明けに思いを新たに致しました。
本年もどうぞよろしくお願い致します。