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オクラホマシティ・サンダーを応援していくNBAブログです。

ラスとの別れ~サンダー再建へ舵を切る~

2019年07月12日 | 2019-20 オフ
2018-19シーズンも終わり、オフに入ったサンダーでしたが今オフ過渡期に立たされています。
まず昨シーズンの先発メンバーを見てみましょう。

PG ウェストブルック
SG ファーガソン
SF ジョージ
PF グラント
C アダムス

そして下記、ここ5日間での出来事です。

【ステップ1】
OKC獲得
ダニロ・ガリナリ
シャイ・ギルゲオス=アレキサンダー
MIAの2021年1巡目指名権
LACの2022年1巡目指名権
LACの2023年1巡目指名権交換権
MIAの2023年1巡目指名権(Top1-14プロテクト)
LACの2024年1巡目指名権
LACの2025年1巡目指名権交換権
LACの2026年1巡目指名権

LAC獲得
ポール・ジョージ



【ステップ2】
OKC獲得
DENの2020年1巡目指名権(Top10プロテクト)

DEN獲得
ジェラミ・グラント


【ステップ3】
OKC獲得
クリス・ポール
HOUの2021年1巡目指名権交換権(Top1-4プロテクト)
HOUの2024年1巡目指名権(Top1-4プロテクト)
HOUの2025年1巡目指名権交換権(Top1-20プロテクト)
HOUの2026年1巡目指名権(Top1-4プロテクト)

HOU獲得
ラッセル・ウェストブルック


たった5日間で昨シーズンまでの先発メンバーが3人もいなくなってしまいました。
まだ気持ちの整理も情報の整理も、そもそもまだまだ動くと予想されている状況ではありますが、これ以上に大きいムーブはないと思いますので様々な観点から分析していきましょう。

まず今回サンダーの一通りのトレードの根底にあるのは”再建”です。
きっかけとなったのは今でも記憶に新しい昨シーズン最後のブレイザーズ戦。
ポール・ジョージの執念のディフェンスの上からリラードが長距離クラッチ3Pをねじ込みました。
サンダーは試合に負けるとともにシリーズにも敗退。
また、手を変え品を変えロスターに変化をもたらしながら臨んだ3シーズンでしたが、プレイオフ1stラウンドの壁は高く、1度として破ることはできなかったのです。

ただ昨シーズンこのシリーズが終わった段階では細かい戦力の入れ替えはあるものの、現在起きている抜本的な数々のトレードが行われるなんて思ってすらいませんでした。
本来先発のロバーソンが復帰すれば、、、
ジョージがシーズン後半肩のケガをしていなければ、、、
“再建”なんて全く考えていなかったのです。
GMのサム・プレスティですら、その方針はあったのかもしれませんが、1stプランではなかったでしょう。

そして最初のドミノが倒れます。
FA解禁後沈黙を保っていたカワイ・レナードがクリッパーズへ移籍。
その際クリッパーズとラプターズのフロントへ移籍の条件に
「ポール・ジョージと一緒にプレイをしたい」
と要求。
どうやらFA解禁後水面下でポール・ジョージと結託し話が進んでいたようです。
それを聞きつけたプレスティはジョージと話し合い、本人が本気だという意思確認後、すぐに行動に出ました。
レナードの移籍先候補として挙げているクリッパーズとラプターズ(残留)のフロントとトレードの条件を交渉し始めました。
結果的に上記の通り指名権を大量に受け取るという条件でクリッパーズとトレードが成立。

そして一度倒れたドミノは簡単に倒れていきます。
ジョージを失ったサンダーはこうして、やむを得ず”再建”を余儀なくされてしまったのでした。

プレスティはサンダーの大黒柱であるウェストブルックと対談の場を設け、今後のチーム方針や状況を説明。
その上でウェストブルックの考えや意見を尊重しながらも、トレードが可能かどうかも確認しました。
ウェストブルックは
「それがチームのためになるのであれば。(トレードされるのは)まんざらでもない。ただ移籍するからには優勝はしたい。」
という意思を示してくれたのです。

その後すぐに起きたのがグラントのトレード。

そしてウェストブルックのトレードが起きたのがその3日後。
トレード先はヒューストン・ロケッツ。
ロケッツといえばサンダーに所属経験がありウェストブルックとは旧友のジェームズ・ハーデンが所属しています。
また、ハーデンは2018年にシーズンMVPを獲得している現NBAを代表する選手であり、ロケッツもここ3シーズンで1度カンファレンスファイナルに進出、2度カンファレンスセミファイナル進出している少なくともサンダーよりも実績のあるチームであり、ウェストブルックの優勝が狙えるチームとしては申し分のないチームとなっております。
ハーデン以外全員がトレード候補だとは言っていたロケッツでしたが、2017年と2018年のシーズンMVPの揃ったチームならば、このビッグスターが揃い踏みしている現NBAで十分戦っていけるでしょう。
少なくともウェストブルックに優勝の可能性を残すことができ、プレスティのビジネスの中にも溢れる優しさを感じました。


ということで感情的にさせて下さい。

ポール・ジョージ
オラディポ、サボニスとのトレードでサンダーに来たときは
「どうせ1年のレンタルで翌シーズンレイカーズに行ってしまうんだろう」
と思っていました。
しかし、翌オフにウェストブルックの主催するパーティでオクラホマの人たちの前で高らかに
「ここに戻ってきたぞ!」
と叫び、物凄く興奮したのを覚えています。
プレイべートでは釣りしかしていませんでしたが、ひとたび試合ともなれば、華麗なボール捌きと勝負強いメンタルで何度もチームを勝利に導いてくれました。
ウェストブルックと一緒にトリプルダブルを達成した試合はそれはもう最高でした。
2年という期間でしたが、密度の濃いサンダーというチームをより好きになれるきっかけをくれてありがとうございました。
クリッパーズでのレナードとのデュオ期待しています。


ジェラミ・グラント
まさかここまで成長する選手になるとは思いませんでした。
サンダーに来た時には右方向へのドライブしかできず、上手いディフェンスには対応できずテイクチャージの餌食になってしまうことがしばしばありました。
しかし、徐々に技が多彩になり、天性の身体能力にスキルが身に付き、ドライブには力強さが増し、バカの一つ覚えだったダンクもレイアップやプルアップジャンパーを織り交ぜフィニッシュできるようになり、気づけば3Pまで高確率で沈められる万能選手になっていました。
可能であればサンダーの再建期、再建後でも戦力としてロスターにいて欲しかったです。
この才能溢れる人材をみすみす1巡目指名権のみと交換というのはいささか安価すぎるのではないかと思いますが、ナゲッツでの活躍を期待しています。


※ウェストブルックに関しては別記事にします。


次にサラリーの面です。
ジョージトレードの際、とはいえこれはFA移籍ではなくトレードなので、あくまでアドバンテージを握っていたのはジョージではなくサンダー側でした。
つまりプレスティがトレードをしないという決断を下せば、ジョージは否が応でもそれに従わなくてはならなかったのです。
ただ、ではなぜそうしなかったのか?
それはサンダーのサラリー事情が大きく関係していました。

サンダーは2015-16シーズンより昨シーズンまでずっとラグジュアリータックス(贅沢税)を支払い続けてきました。
更にはそれに加えリピータータックス(継続税)の支払いもしてきたのです。
分かりづらいと思うので、今オフが始まった時点でのチームサラリーで詳しく見てみましょう。

今シーズンの各種ラインは下記の通りです。
サラリーキャップ 109.140mil
タックスライン 132.627mil


このタックスラインが1つの基準で、これを超過したらその分だけ、選手への支払とは別にリーグへの支払いをしなければならなくというものです。

サンダーは今オフ始まった段階(ルーキーのみ加入あとの戦力補強なし)でチームサラリーの合計が147.788milでした。
これは当然タックスラインを超過していますので、その差額分を規定によりリーグへ支払わなくてはならず、サンダーが支払う合計は192.124milと大幅に膨れ上がってしまっていたのでした。

選手への給料として147mil近く支払うのはまだ分かるのですが、それとは別に44.426milもばかばかしいにも程があります。
これで仮に優勝していたり、あと一歩だったりしたならまだ分かりますが、3シーズン連続でプレイオフ敗退ですので、プレスティもどんなに同じロスターを軸にして戦いたくともお金をじゃぶじゃぶ出してくれるオーナーの顔をうかがってしまうもの。
そんな葛藤の中舞い込んできたのがジョージからの移籍の打診だったわけです。
もしサンダーのサラリーがもう少し低ければ、このような事態にはなっていなかったかもしれません。

さて、では動きに動きまくった現在のサンダーのサラリーはどうなっているのでしょうか。

クリス・ポール
38.506/41.358/44.211(PO)
アダムス
25.842/27.528
ガリナリ
22.615
シュローダー
15.500/15.500
ロバーソン
10.740
パターソン
5.711
シャイ・ギルゲオス=アレキサンダー
3.952/4.141(TO)/5.495/7.523(QO)
ファーガソン
2.475/3.944(TO)/5.683(QO)
ベイズリー
2.260/2.373/2.487(TO)/4.220(TO)/6.140(QO)
ノエル
2.280
シングラー(ウェイブ済)
1.665/1.665
バートン
1.416/1.663
ディアロ
1.416/1.663(TO)

※ネイダーとマスカラはサラリー未確定。
※ドートの2way契約はサラリー計上から外れるので、入れていません。

現時点でのサラリー合計が134.378milとなっており、削りに削ってタックスラインの132.627milまであと少し。
現在噂されているクリス・ポールの更なるトレードが成立すると、恐らく5年ぶりのタックス支払い回避が見えてきます。
更に翌年にはガリナリ、ロバーソン、パターソンの契約がなくなる(再契約しない前提)ので、更にサラリー削減をすることができるでしょう。
“再建=サラリーキャップ空け”なので、その第一歩としては最高の出来だと思われます。



最後に、手あたり次第集めた指名権詳細です。

現在サンダーの保持している指名権とその条件一覧(1巡目のみ赤色)

■OKC 2020年1巡目指名権(1-20位ならばOKC、21-30位ならばPHI)
■DEN 2020年1巡目指名権(1-10位ならばDEN、11-30位ならばOKC)

■OKC 2020年2巡目指名権(31-55位ならばCHI、56-60位ならばOKC)

■OKC 2021年1巡目指名権(5-30位ならばHOUと交換可能)
■MIA 2021年1巡目指名権

■OKC 2021年2巡目指名権

■LAC 2022年1巡目指名権
■OKC 2022年1巡目指名権(1-14位ならばOKC、15-30位ならばATL)

■OKC 2022年2巡目指名権(2020年1巡目指名権がPHIに渡っていたらOKC、そうでなければPHI)

■OKC 2023年1巡目指名権(LACと交換可能)
■MIA 2023年1巡名指名権(1-14位ならばMIA、15-30位ならばOKC)

■OKC 2023年2巡目指名権(2020年1巡目指名権がPHIに渡っていたらOKC、そうでなければPHI)

■OKC 2024年1巡目指名権
■LAC 2024年1巡目指名権
■HOU 2024年1巡目指名権(1-4位ならばHOU、5-30位ならばOKC)

■OKC 2024年2巡目指名権(2022年1巡目指名権がATLに渡っていたらOKC、そうでなければATL)

■OKC 2025年1巡目指名権(LACと交換可能)
■OKC 2025年2巡目指名権(2022年1巡目指名権がATLに渡っていたらOKC、そうでなければATL)

■OKC 2026年1巡目指名権(21-30位ならばHOUと交換可能)
■LAC 2026年1巡目指名権
■HOU 2026年1巡目指名権(1-4位ならばHOU、5-30位ならばOKC)

■OKC 2026年2巡目指名権

とりあえず再建するにあたって指名権が多いに越したことはないですし、これ以上に心強いものはありません。
とは言えさすがに持ちすぎなので、今後いくつかトレードに含まれたりもするかもしれません。

まとめです。
長年思い入れのある選手が放出されてしまうのは非常に残念で悲しい気持ちでいっぱいです。
それはファンはもちろん選手たちも、そして冷徹なプレスティですら同じだと思います。
しかし、バスケットボールの世界最高峰のリーグであるNBAにおいて、チームが優勝を目指し最善の策を打つのは当然であり、その一環だと割り切らないと生き残れない世界なのも理解できます。
幸い、敏腕GMのプレスティが柔軟に選手の獲得をできるようタックスの削減をし、未来のサンダーを担う期待の若手を獲得できるよう指名権を集め、再建期ではありますが優勝を目指し最短距離を走ってくれています。
ファンとしては辛い時期になるかもしれませんが、こんな時期でこそ応援し甲斐があるというものです。
個人的にはペイトンがいなくなった時期、レイ・アレンがいなくなった時期に続き3度目の再建です。
明るい未来を信じて応援を続けます。

最後に、開幕前までに絶対変化しているでしょうが現時点でのロスターだけ記載しておきます。

PG ポール/シュルーダー/アレキサンダー
SG ファーガソン/ロバーソン/バートン/ディアロ
SF ガリナリ/ベイズリー/(ネイダー)
PF パターソン/マスカラ
C アダムス/ノエル
2way ドート


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