「食卓に華を」

定年まで2年と言う親父が湯沢に転勤する事になった。
明晩は最後の晩餐である。
「よし、食卓に山女魚で華を添えてやろう」
ここ数日は悪天候続き。若干の増水と笹濁りを期待し、
餌を2種類用意した。（ちなみに解禁から2回の釣行はルアーで、
満足な釣果は得てない）
4月5日（水）
仕事までの数時間旭川で実績のある「ナオチャンポイント」へ直行
水量は多めだが、濁りはそんなにひどくなく案外大物が潜んでいるような気がする。
一投目からアタリがあるが、期待に反し小さな雑魚
ここぞと思うポイントに流すが、数度のアタリ全てが雑魚である。
絶対に居るはずだ。
流心の奥に振り込んでみる。着水してから目印が動かない。
水中の枝にでも引っ掛けてしまったのか？
軽くアワセて見る。っと同時に、流心に乗り覆いかぶさった枝の下に入ろうとしている
流れが強く実際以上の引きだ。
数度のアワセをくれた後、強引に手前に引く。
かすかに見えた白銀の魚体。
右手に伝わる何とも言えない手応え。
2度・3度と流心に乗り、下ろうとする。
引きを楽しんだ後、慎重に寄せランディング。
ジャスト27㌢の山女魚だ。
時計は6時10分をさしている。
親父の喜ぶ顏が目に浮かぶ。
（談）伊藤　直樹
写真は本文に関係ありません。