先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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「5分間」に涙がでた ! 大阪の島田ガラス工場争議 1927年の労働争議(読書メモ)

2023年07月10日 07時00分00秒 | 大久保製壜闘争

上・島田硝子工場争議団のストライキ「檄」ビラ(1927年)

「5分間」に涙がでた ! 大阪の島田ガラス工場争議 1927年の労働争議(読書メモ)
参照 「協調会史料」

「5分」についての感想
 妥結内容で一番唸(うな)ったのは(朝・夜)の出勤時間を5分遅らす妥結項目。労働者側の「出勤時間を15分遅らせる」要求に対し会社はたった5分間だけ遅らせることを認めたのだ。なんだたった5分かと言うなかれ。このわずか5分間に島田硝子労働者61名もの解雇、18日間のストライキ、家族の飢え、どれほどの犠牲が凝縮しているだろう。どんなに悔しかっただろう。しかもこの5分が5分の労働時間短縮とは限らない。会社はその分退社時間を5分延ばしているかもしれないのだ。職場の労働条件とはたとえ1分であっても、例外なく労資の力関係が決めるということ。

 私が大久保製壜の製壜工だった夜勤の時、同僚のある少年のような労働者は、工場内の壁の上の方にある油すすに汚れた大きな時計の針を、深夜、職制の目を盗んではキャタツに登って、少しだけ(ほんの4・5分)進めることにまるで天から自分に課せられた大切な任務のように執着していた。それを知っている同じ組の労働者みんなも、組長までも喜んでいた。1分でも2分でも早くこの地獄のような灼熱現場から離れられることのこの快楽が理解できる人はそれだけで同志だった。時計の針が進められていることを承知で早く交代に降りてくる人は皆から好かれ、いつもわざと必ず遅れて(時間通りに)交代にくる奴は本当に憎まれていた。こんなことが職場の仲間との団結、組織化へ、のちの御用組合青年22名決起のきっかけにもなった。
 島田硝子工場争議妥結の、この5分間には正直まいった、涙がでた、ほんとに万感胸に迫った。

島田硝子工場争議
場所 大阪市西淀川区
労働者数 432名(女性73名)
日本労働総同盟大阪聯合会大阪合同労働組合に57名が加盟

(島田ガラス工場の労働条件)
労働時間 昼夜12時間2交代勤務で昼勤2週間、夜勤2週間ごとに交代
出勤       (朝・夜)7時15分
公休日     月2回(他に年末年始 12月31日から1月3日など)
休憩時間 午前15分、昼食休憩20分、午後15分

社内貯金(毎月の給料から積立金を40銭から2円が引かれる。しかも本人が引き出せるのは以下の場合だけ)
①病気で15日以上休業、②帰郷一ヵ月以上、③本人の結婚、④父母妻子の死亡、⑤本人死亡または解雇の時

(過去の闘い)
 島田硝子工場の465名は1925年4月21日から5月5日、解雇2人の復職とメーデーの休日を要求しストライキ敢行。総同盟・大阪合同労働組合の支援の下、全面勝利。同年5月15から23日争議再発、解雇手当、退職手当、軍事手当、夏季手当の制定。公傷、私病手当の改善、工場委員会制度の実施、定期昇給、年功賞与の改善。衛生設備の改善など要求し組合側に有利な形で妥結した。

(会社の大巻き返し ! 悪魔、組合つぶしゴロ島本の導入)
 1926年夏、会社は突如島本某なる組合つぶしゴロを雇った。こいつが悪魔だった。激しい組合攻撃が始まり、島本は労働者が病気でもないのに病名を付けて追い出したり、20年勤続の組合員にある事ない事難癖をつけて解雇するなど情け容赦ない残虐な迫害攻撃を続けた(大久保製壜闘争教会ろう城直後に導入された労務ゴロ屋上八郎のようだ)

 1926年12月末日、会社は突然組合幹部2名を解雇してきた。組合つぶしを真の目的とする全面的巻き返し攻撃の開始だった。

(1927年1月8日要求書提出)
一、2名の復職
二、島本人事部長の解任
三、年2回の定期昇給
四、労働組合の承認
五、出勤時間を7時15分から同30分に変えること

(61名解雇)
 会社は労働者の要求を一喝し、逆に組合員ら61名を次々に首にしてきた。

(スト決行)
 1月11日から183名がストライキに立ちあがり、各方面に「檄」を飛ばした。57名の組合員以外にも職場の多くの仲間がストに参加したのだ。

(島田社長脳溢血で亡くなる)
 「組合を葬らん」と叫び頑強に組合攻撃を止めようとしなかった島田社長が、1927年1月19日午後6時半大阪堂島ホテルで講演中に脳溢血で突然倒れ亡くなった。大阪府調停課長の再三再四の調停により1月28日、18日間に及ぶストライキは終わった。

(妥協内容)
一、出勤時間7時15分を5分後の7時20分とする
一、解雇者61名に解雇手当の支給と金一封(2千500円)を支給
一、解雇されていない73名は1月31日より職場復帰

以上



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