昨日、国連人権理事会から派遣されていた専門家が会見を開き、オラウィ議長が、日本で「ビジネスと人権」分野でリスクにさらされている集団として「特に女性やLGBTQI+、障害者、部落、先住民族と少数民族、技能実習生と移民労働者、労働者と労働組合のほか、子どもと若者」に「明らかな課題がある」と述べ、「リスクにさらされた集団に対する不平等と差別の構造を完全に解体することが緊急に必要だ」と指摘し、ジャニーズ喜多川氏による性加害については、「人権侵害があったという告発があった時は、どのようなものであれ真剣にとらえて、指導原則にのっとった形で適切な調査を行うことが重要だ。その際には、調査は透明性をもった正当なものでなければいけない。被害者に対しては謝罪であれ、金銭的な補償であれ、きちんと救済が提供されなければいけない。そしてすべてのステークホルダーがそのような救済へのアクセスを担保しなければいけない」と述べた。
また、同専門家のイエバトン氏によると、「ジャニーズ事務所のタレントが絡む性被害者との面談で、タレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれたという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった。」「ジャニーズ事務所が設けた外部専門家による特別チームについては、透明性と正統性について疑念が残っている。」、「同相談窓口についても、相談したい被害者への対応が不十分だという報告がある。」とのこと。
日本の根強く残る社会風土については、江戸時代の昔から、「黒船が来なければ変わらない。」と、よく言われてきたが、日本人が、戦後、理想的な国際機関として崇めて来た国際連合の人権理事会という機関から、これほどまでにあからさまに言われたようなことは、かって聞いたことが無い。
私は、特に、ジャニーズ事務所に絡む問題としては、一ジャニー喜多川氏の行った性加害という問題だけではなく、それを知りながら許してきた日本社会の構造的な問題を暗に指摘しているのではないかと思ってならない。オーナー社長やその取り巻き達の行っていた各種のハラスメント行為は、ビッグモーターの問題でも明らかになったが、創業者社長のようなカリスマ性を持つ支配者に対しては、社長の意向に反するような提言も言えないし、その意向に反する行為も出来ないし、少しでも反することを言えば、降格・左遷・追放ということが待ち構えている。ジャニーズのアイドルを志望する少年達にとっては、神様に等しいような喜多川氏からの性加害すら、耐え忍ぶ以外に方法は無かったであろう。そのトラウマから、精神的に障害を持った者もいるだろうし、異性との正常な関係を築くことが困難であった人もいるだろう。しかも、民事裁判で性加害があったと認定されたとしても、大手のマスコミはスルーして取り上げない。今現在も、テレビのワイドショーでは、ニュースで話題となった他のトピックを取り上げても、この問題だけは完全にスルーしている。それほどジャニーズ事務所の意向に忖度が必要なんだろうか。それほど、同事務所のマスコミに対する支配力が強いのだろうか。また、元大統領夫人であるタレントは、喜多川氏を擁護し、これを批判する人達に対して「恩知らず」と切って捨てるような時代錯誤の言動をしていると聞く。更に、ジャニーズファンの中には、喜多川氏の功績を過大に評価し、彼の行った前代未聞の多人数被害の性加害のことを無視しようとする人達がいると聞く。
まとめると、創業者などの性加害という犯罪行為を組織的に隠ぺいしようとする体質、部下などからの多様な意見を聞こうとしない独裁者の存在、商業主義に毒されたマスコミの事なかれ主義、政府行政や警察などが男性間の少年に対する性加害という問題をまともに取り上げようとしなかったこと、盲目的なファンという善意を装った第三者の存在が挙げられるかもしれない。
今回の事案は、ジャニーズ事務所だけの問題ではなく、我が国に横たわる前近代的な社会構造の問題でもある。例えば、24時間テレビには、今年もジャニーズ事務所所属のタレントが多く起用されるという。タレントには責任が無いというのは建前ではなかろうか。勿論、彼らタレントは、被害者であるか傍観者であったか、或いは、ジャニーズ加入前に事案が発生していて全くの無関係者であったかは問わず、ジャニーズ事務所という大看板を背負ってテレビ番組等に出演する以上、無関係を装って沈黙し通すことが良いことなんだろうか。ジャニーズ事務所は、特別調査チームや相談窓口を設けたと言っているが、その実態は、国連人権理事会の指摘するように、透明性や実効性に欠けているのではなかろうか。更に言えば、辞めジャニタレントがテレビ番組などに出演することに際して、今でも、全く圧力を掛けていないと言い切れるのだろうか。元スマップメンバーなどが、テレビなどに復帰するには長年かかったことから考えても、暗黙の圧力があり、テレビ局側の忖度があったとしか考えることが出来ない。それでも、ファンのあなた方は、そんなジャニーズに所属し続けて居るタレント達を応援し続けることが出来るのだろうか。私には、日本人が劣化しつつあるとしか言いようがない。
日本全体に、問題を、表面的にしか捉えることが出来ない、或いは、問題があると知っていても自分に関係が無いからと無視する人達が増加しているように見える。私は、今まで、どちらかと言えば、反対の為の反対ばかりしている野党よりも、実体経済や社会を良くしようとしている与党の方に投票することが多かったが、権力者の近親者にかかる不審死事案すらも隠ぺいしようとしている政府・与党・警察や、原発推進だけではなく、ポーズとしての反原発すら金にしてきた与党議員、あらゆる手段で、低所得者からも課税しようとする政府・与党には、流石に、ついて行けないものを感じている。今回の国連の調査を受けて、この国がどのような対応を取るのだろうかと、その実態を見極める必要があると思っている。
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