旅はずっと『特別な時空』が繋がれて出来ている。
物珍しい地引き網漁、木材の切り出し、果物の収穫、絵ハガキの様に美しい山野、海峡……。
どれもコレも『非日常』の驚きで興味引かれるモノがある……。
一方、ソコに暮らす生活者達は生業としてこなす労働であり、良くも悪くもソコに繋がれて『何時もの風景の中』……に在り続ける……。
コロナ騒動一年で……この地方の時短の括りはやっと解かれた。
『ココからはどうぞご自分で❗』という時空間に戻った感である……。
ふと……天変地異にヤラレた人達の取材風景と……無理して絞り出す現場の生活者達の『なけなしの笑顔』を思い出した。
報道陣は『悲惨な非日常』の痕跡を次々と見付け出し電波に乗せて津々浦々に配信する。某かの興奮?高揚感で精力的に話題を拾い集めていく……。
目の前に山積する瓦礫の山々を見ながらソコの生活者達は……何れだけ突き放された様な心境だったろうか……?
結局……一騒動収まれば『あなたの問題ですよ』と後片付けから棲み家の確保……その上で目算立たぬ生業のこれからの問題等々、一切合切がやって来る……。
福島原発によって棲み家を失い、未だに帰れぬ数万人の『今はあの時のまま』である。
『情報を旅する報道陣』は……無理してでもインパクトある非日常を追い求める。
ワクチンがやって来れば……その数の少なさは絶望的だ❗❗……と悲観的ニュアンスのニュースを流す。
飲食業……かなりの数が断念して消えていった。この一年、目の敵にされ、同情もされ、実態に見合わない補償金……でヤッカマレもしたけれど……。
今、目の前には淡々とした日常が開け始めてる……。
『コロナはどうですか?』……平然と応えれば落胆もされ、期待に応えてションボリすると相手の顔に安堵の表情が浮かんだり……。
そんな『旅行者達の興味』は去っていくだろう……。
長いこと座り込んでた被災者の老人が、情報の旅行者達が消えた静寂の中……ユックリ立ち上がり瓦礫の一つに手を伸ばす様に……僕もまた『何の変哲もない普通』という日常に回帰を目指さなければならない……。
『変わった事は何もない』……その生活者の日常の有り難さをこの一年で折角学んだのだから……。