舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

人と人が愛し合うことを描いた実は超王道の人間ドラマ。『ゴッズ・オウン・カントリー』観てきました。

2019-04-30 19:08:25 | Weblog


4/29(月)、シネ・ウインドで『ゴッズ・オウン・カントリー』を観てきました。





予告編はこんな感じです。



イギリスのヨークシャー地方の牧場を経営する一家を舞台に、年老いた父と祖母とともに寂れた牧場で働く毎日に嫌気が差し、飲んだくれている青年・ジョニーが主人公です。
同性愛者の彼は、酔ってはゆきずりの男性の刹那的なセックスをしては憂さを晴らしています。

そんなある日、彼の家に泊まり込みで働きに来たのは、勤勉で無骨な移民の青年・ゲオルゲでした。
性格も対照的で人種も違う二人は、最初は衝突しますが、やがて体を求め合い、徐々に愛し合っていきます。

同性愛に限らず、相手を性の対象としか見ないのと、愛し合った上でセックスをするのとには、大きな差があると思っているんですけど、この映画ではその変化を丁寧に描いていると思いました。
多様性の時代というか、こういう同性愛などのマイノリティな人を描いた映画は増えていると思いますが、実際そこで描かれている性愛などのテーマは、きっと同性愛/異性愛に関係なく起こりうる普遍的なものだと思うんですよね。

また、移民であるゲオルゲは差別を受けているという描写もあり、最初はジョニーもそういう目でゲオルゲを見ているのですが、徐々に二人は愛し合うことで分かり合っていきます。
映画の中盤、二人が愛し合う時に登場する、広大で美しいヨークシャーの風景を見ていると、その前では性別の壁や人種の壁などは取るに足らない問題のように思えてくるほどでした。

しかし後半、ジョニーの父が倒れたことで起こる介護問題、そこから起こる牧場の経営の危機などなど、問題が山積みになっていきます。
さらに、二人が飲みに出かけたバーでゲオルゲが差別を受けたり、ジョニーが映画の冒頭で登場した男性とセックスをしているところをゲオルゲに目撃されたことから修羅場になったりすべてが悪い方向に進み、ついにゲオルゲは家を出て行ってしまいます。

このあたり、非常に見ていて絶望的な気持ちになるのですが、気持ちを入れ替えたジョニーが、勇気を出してもう一度ゲオルゲに会いに行くというラストに、救われた気持ちになりました。
同性愛や差別問題など難しい問題を扱っているようにも思えるかも知れませんが、主人公の成長や愛し合うことの素晴らしさなど、実は超王道のテーマを扱った普遍的な映画だと思うんですよね。

社会派なテーマを描きながらも、実は誰もが感動できる映画だと思います。
見ごたえのある人間ドラマでした。





全然関係ありませんが、夜の上映が終わって帰ろうとしたらシネ・ウインドの人がお菓子をくれました。
アットホームな映画館!!
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