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ギレルモ・デル・トロ監督最新作『シェイプ・オブ・ウォーター』観て来ました!

2018-03-30 01:26:22 | Weblog


3/30(金)、イオンシネマ新潟西でギレルモ・デル・トロ監督の最新作『シェイプ・オブ・ウォーター』を観て来ました!





予告編はこんな感じです。



『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督、僕は過去に『パンズ・ラビリンス』と『パシフィック・リム』を観ているのですが、どちらも本当に大好きな映画なので、今回もとても楽しみにしていました。
おとぎ話と歴史ドラマが融合したような不思議なファンタジー『パンズ・ラビリンス』、巨大ロボットと巨大怪獣が戦う特撮愛が炸裂した『パシフィック・リム』、作風はまったく異なる2作品ですが、僕がギレルモ・デル・トロ監督の映画に対して共通して感じるのは、「物語」というものに対する強いリスペクトです。

ギレルモ・デル・トロの映画を観ると、僕が幼い頃から大人になるまでずっと夢中になり続けてきた、絵本や小説、映画やアニメなど、様々な「物語」に熱中したワクワクした気持ちを思い出させられます。
そんな気持ちで観て来た今回の『シェイプ・オブ・ウォーター』も、本当にとてもわくわくさせられ感動させられる物語で、それはきっと、大昔の人達が口伝えに聞いた物語に夢中になったのと変わらない気持ちなんだろうな。

まず、物語がすごくよく出来ていて、時代は冷戦下のアメリカ、主人公のイライザは障害があって言葉を話すことが出来ずに手話を用いている女性で、不器用で内気な性格、アパートや職場の数少ない友人以外とはほとんど接点がなく、孤独に独り暮らしをしています。
主人公には障害があり、アパートの友人はゲイ、職場の友人はアフリカ系黒人という点からも、この映画が、というか監督が、時代の陰に隠れていたようなマイノリティな立場の人達への愛を持って描いているんだということが感じられます。

そんな彼女は「航空宇宙研究センター」で清掃員をしているのですが、そんな職場に国家機密プロジェクトとして、半魚人のような異形の生物が運び込まれてくるのですが、その半魚人は一見恐ろしい形相をしている上に、乱暴に扱った軍人が指を失ってしまうという、最初は乱暴として描かれます。
ひょんなことからイライザはその生物と対面するのですが、そこで不思議なコミュニケーションが生まれ、徐々に手話による対話が出来るほどになっていくほどの絆を築いていくのです。

その後、その謎の生物は自然界から隔離され、実験材料として殺されそうになっているという非常に気の毒な存在であることが判明していき、イライザは「彼」を救うために奮闘するのです。
異形の存在と人間との出会い、まさに「未知との遭遇」と呼ぶべきストーリーであり、「E.T.」が大好きな僕としてはもう非常にワクワクさせられるのですが、この映画の場合は、孤独な人間と(本当は凶暴な一面もある)孤独な異形の生物が、種の壁を越えて愛を築くという非常に優しさに溢れたロマンティックな物語になっているので、どうしてもぐっときてきしまうのです。

さらに、素晴らしいのがこの異形の生物の造形で、もちろん現実には存在しない生物に決まっているのですが、「本当にいるかも…」と思わせてしまうほどの説得力を持った造形なのです。
「E.T.」にしろ「エイリアン」にしろ「スター・ウォーズ」にしろ「第9地区」にしろ、優れたSF映画は本当には存在しない生物を「まるで本当にいそう」と信じ込ませてしまう魅力があると思うのですが、この映画もまさにそういう映画でした。

もっと言えば、現実には有り得ない出来事を物語を楽しんでいる時だけは「本当にありそう」と信じ込ませてしまうのが、SFを楽しむ魅力の一つだと思っているのですが、そういう力がこの映画にはあったと思います。
「パシフィック・リム」のディティールにまで凝りに凝って作られた巨大ロボットを見た時に、そりゃもちろん現実には有り得ないでしょうけど、映画に夢中になっている時だけはその存在を心から信じてしまっていたように。

だからこの映画は、優れたSF映画であると思うのですが、それと同時に、人間と異形の存在が種の壁を越えて愛し合うという物語は、昔からのおとぎ話にもあるようなファンタジー的な側面もあると思うんですよね。
もっと言えば、この映画は冷戦下のアメリカを舞台にしており、当時の緊迫した米ソの関係や、スパイなども登場するので、歴史サスペンス的な一面もあり、そして同時に「あの時代なら秘密裏にこんな実験が行われていたかも…」と信じてしまいそうになるという意味でも物語に説得力があり、そういう歴史SF、歴史ファンタジーとしてもよく出来ていたなあと思います。

色々書いてきましたけど、僕が昔から絵本や小説や映画でアニメで夢中になった、SFやファンタジーのワクワクする面白さが脚本からも映像からも溢れ出すほど伝わって来て、その上さらに弱い立場の人達、傷付けられてしまう人達への愛や、孤独な存在が誰かと出会い愛を育むことの素晴らしさにも溢れた、とびきりロマンティックな映画でした。
そんなわけで、どうしても愛さずにはいられない一本で、本当に大傑作だと思います。

ただ、一つ言うならあまりに情報量、言い換えれば映画の「面白さ」の要素(脚本にも演出にも造形美にも)が多すぎて、一度観ただけではすべての「面白さ」を全然堪能しきれていないような気がするんですよね。
だから、いつかもう一度、いや、一度と言わず何度でも、観返したくなるような一本だと思います。
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