
12/3(金)、シネ・ウインドで「夕霧花園」を観てきました。
戦時中は日本と英国の支配による複雑な政治情勢にあったマレーシア。
戦後、女性弁護士として軍事裁判に関わっていたユンリンは、戦争で日本軍によって殺された妹の夢であった日本庭園を造るため、マレーシアに滞在する日本人庭師の中村有朋を訪ねる。
しかし彼にはスパイ容疑があった…
マレーシアと日本の緊迫した政治関係を背景に、造園とを学ぶ中で恋に落ちていくユンリンと中村有朋。
そしてこの物語は、その数十年後の現代のユンリンの回想という形で語られていく。
戦中、戦後、現代という3つの時代を行き来しながら、少しずつユンリンの過去や中村有朋の気持ちが語られていく構成が見事でした。
最終的に中村有朋の造園や言葉の数々に、実はユンリンに対するメッセージが込められていた!ということに、数十年後の現代でユンリンが気付く場面は、壮大な伏線回収のようで、ラブストーリーでありながらミステリー的な感動がありました。
もう会えなくなってしまうほどの、長い時間をかけてやっと伝わる気持ち、切ないけれど深い感動がありました。
中村有朋の役を阿部寛さんが演じているのですが、強い思いを秘めながら静かに真っ直ぐに生きる人物を熱演していました。
個人的に阿部寛さんが好きなので、マレーシアの映画でも活躍してくれていたのが嬉しかったです。