
8/26(木)、シネ・ウインドで「シュシュシュの娘」を観てきました。
ある地方都市で移民排除条例が制定され、しかもその裏では公文書改竄が行われているという、現実のニュースを彷彿とさせる設定。
そして公務員の主人公は祖父が条例に反対しているために職場で肩身の狭い思いをするという、本当に地方でありそうな生々しい政治腐敗が描かれ、もうこの時点で面白かったです。
そんな中、公文書改竄を巡ってある事件が起こり、主人公はまさかの方法(ネタバレ厳禁)で反撃することに…一見バカバカしい設定ですが、スパイ的な展開もあってすごくワクワクするし、最後はめちゃくちゃ爽快でした。
すごく「映画的」な物語をすごく生々しい日本の地方都市の社会問題の中で描くというのが、現実のどうしようもない差別や政治腐敗に、せめて「映画」で反撃してやろうという入江悠監督のロックな姿勢を感じてカッコいいと思いました。
福田沙紀さんが演じる主人公が、最初は自分の意見を主張できない気弱な性格なのですが、でも正義の心で立ち上がって反撃するのがすごく爽快だしカッコいい。
こういう情けない人物が頑張る映画ってすごく感動するんですが、入江悠監督の映画は「SRサイタマノラッパー」や「ギャングース」でもそういう人達への愛を感じるから好きです。
舞台が「SRサイタマノラッパー」シリーズや「ビジランテ」同様に埼玉県深谷市で、監督の出身地なだけに、地方都市ならどこでもありそうなリアルな地獄描写が生々しいのも良かったです。
特に「ビジランテ」はそこをかなりハードに描いていましたが、今回は(ちゃんと社会派でありつつも)ポップに描いていたのも良かったです。

上映後、入江悠監督の舞台挨拶では、コロナ禍で仕事がなくなり自主映画を撮ったこと、同じく仕事がなくなった俳優や学生スタッフを積極的に起用したという応援の気持ち、主演の福田沙紀さんの魅力(「ヤッターマン」が好きだったとか、ダンスシーンのアドリブ演技が素晴らしかったとか)、「ビジランテ」から続く反差別の想い(特に関東大震災の朝鮮人差別を意識したそうです)、「タゴール・ソングス」への自分なりのアンサーを描いた場面、充実した内容でした!

そしてこの映画はコロナ禍を生きる全国の映画館への応援の気持ちで作ったとのこと。
入江監督が学生時代引きこもりで、でも群馬の映画館に通い、自分は孤独じゃないと感じた体験から映画館を守りたいと思ったというお話も素晴らしかったです。






かなりシネ・ウインドも気合を入れて宣伝をしていたのが伝わりました。
全国のミニシアターに対する応援の気持ちを感じる映画であるとともに、全国のミニシアターからの応援の気持ちで上映が続いている映画でもあるなあと思います。

入江悠監督、ありがとうございました!
これからも頑張ってください!