とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

『白鳥」アンデルセン

2006年04月27日 15時00分16秒 | 読書感想
 福音館のアンデルセン生誕200年記念の復刻版、限定出版の『白鳥』を読む。繊細なアンデルセンによく似合った、心のこもった松岡享子氏という方の翻訳で、マーシャ・ブラウン・絵で、アンデルセンの繊細さにによく似合うと思った。
 幸福を絵に描いたような幼なき11人の王子と妹のエリザの生活。
しかし、幸福は長くは続かなかった。母親が死に、王様はいじわるな女と結婚をする。(全国の継母よ、くじけるなかれ。いじわるな継母は童話では、よく使われる小道具にすぎない)
 11人の兄たちは、鳥にされ、冠をかぶった白鳥になって、城の外へと飛び出していく。残った妹のエリザは、最後に城をでて、森にさまよいでる。しかし、清純で美しい心をもった、信心深く辛抱強いエリザは、苦難尾の果て、ついに兄たちの魔法をといて、人間にもどす。
魔法の世界の物語は、まるでバラの花一輪のように、しっかりと心に残りました。
そして、物語の美しさ、主人公の強さには勇気と感動を与えられました。
感動の場面の数々に、おもわず、不覚にも、はらはらと涙が出ました。

ついでに、岩波文庫の『アンデルセン童話1」に収録の『野の白鳥』も読む。大畑末吉氏による翻訳文で、タイトルも『野白鳥』と変わる。
同じ原作でも、ちょっと感じがちがう。どちらを好むかは、個人によってちがうだろう。

やはり、翻訳は地味な仕事だが、こんなに作品の感じが微妙に変わってくるので、大切な仕事なのですね、と思いました。

以上

松居直氏は、日本語の調べを大切にされている。日本語の調べとは、『万葉集』『古今和歌集』などの、あの5,7の調べらしいが、降り積もる童話、寓話、昔話に、さらに日本の古典を読めというのは、「死ね」というに等しい。
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