とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

「ピーターラビットの絵本」シリーズ (12)

2007年02月25日 11時44分11秒 | 児童文学(絵本もふくむ)
(12)「ジンジャーとピクルズや」のおはなし(1909年刊)
ビアトリクス・ポター さく・え  いしいももこ氏訳
 
              (要約)
 《あるむらに、1けんの ざっかやが ありました。ウインドーのうえには、「ジンジャーとピクルズや」と、かいてありました。

  《それは 小さな かわいらしいおみせで、おにんぎょうたちが かいものをするには、ちょうどいい おおきさでした。》にんぎょうのいえの ルシンダや、ジェインは、いつも このおみせへ かいものにいきました。
 《おみせの かんじょうだいは うさぎたちに ちょうどいい たかさでした。》あかい ぽちぽちのついた ハンカチは 29円。おさとうや かぎたばこや、ながぐつも うっていました。(★おやおや 青いうわぎのピーターや妹たちが、さりげなく おきゃくに なっています)

  《まったく その おみせは 小さいのに、ないものはない といっても いいくらいでした。》もっとも、きゅうに いりようなもの―くつひも、ヘアピンとか おきゃくさんようのにくとか―をかいにいくと、いつも、しなぎれなのですが。

  《このおみせを やっていたのは、ジンジャーとピクルズでした。ジンジャーはきいろいおすねこで、ピクルズは テリアしゅの りょう犬でした。》《おきゃくの うさぎたちは ちょっとばかり ピクルズをこわがっていました。》

  いえねずみも かいものに きました。でも、いえねずみが こわがったのは、ねこのジンジャーでした。いえねずみが きたときは ジンジャーは いつもピクルズに あいてをしてくれるように たのみました。よだれが でてくるのです。

 《「ぼくも どぶねずみを見ると、おんなじ気もちになる」と、ピクルスはいいました。「しかし、じぶんのみせにくる おとくいを たべてしまうなんて、いけないことだからね。そんなことをすれば、ねずみたちは みな タビタおくさんのおみせへいってしまうよ」》

 《「そんなことあるものか。たべられてしまえば そのきゃくは どこへいけるって いうんだね?」と、ジンジャーは、ゆうつそうに いいました。》

 (むらには もういっけん ざっかやがあるだけで ねこの タビテおくさんがやっていたのですが かけうりをしませんでした)

  《ジンジャーとピクルズは いくらでも かけでうりました。
 さて、かけというのは、こういうことです―おきゃくが せっけんを 1こ かったとします。けれども、そのひとは さいふをだして おかねをはらうかわりに、またこんど はらいます、というのです。
  すると、ピクルズは ていねいに おじぎをして、「けっこうでございます、おくさま」といって、そのことを ちょうめんに かきつけます。》

 こういうわけで おきゃくは ジンジャーとピクルズをこわがりながら たくさん きました。

 《でも、「ジンジャーとピクルズや」の げんきんばこには、すこしも おかねがたまりませんでした。》

 《まいにち おきゃくは、どっとおしかけてきて、たくさんのかいものをしました。》(★あれあれ、また ピーターラビットが かいものにきた。ボンネットをかぶった あひるのジマイマも。その他、たくさん!)

 とくに キャンディーが よく うれたのですが、おきゃくは はっかドロップを10えん かったときも おかねをはらいません。
  けれど うりあげせいせきは すばらしく タビタおくさんのおみせの 10倍も ありました。

  《けれども おかねがなかったので、ジンジャーとピクルズは、おみせにあるものを たべなければなりません。》ピクルズは、ビスケットを、ジンジャーは たらのひものです。
 《ふたりは おみせをしめたあと、ろうそくのあかりで そういうものを たべました。》

 そして 1月1日になりましたが おかねがないので ピクルズは いぬのかんさつを うけられませんでした。
 《ああ、おちつかない。ぼく じゅんさが こわいよ」と、ピクルズがいいました。「きみ、それは 身からでた さびだよ。」》《「きみが りょう犬なのが いけないんだ。ぼくは かんさつなんて いらないし、ひつじのばんをする こりー犬の ケップっだって いりゃしないよ」》

 《「とにかく いやな気ぶんだよ。よびだしが くるんじゃないかな?》
 「ゆうびんきょくへいって かけで かんさつをうけようとおもったが だめだった。ここらには じゅんさが うようよ いるよ。」

 《「もう1ど、あのねずみの ひげのサムエルに せいきゅうしょを おくることにしようよ、ジンジャー。ベーコンが1,950えんも かしになっているんだ」》

 《「あのひと はらうつもりなんか ありゃしないよ」と、ジンジャーは こたえました。》

  「それに、さいくんのアナ・マラオアは、たしかに、みせのしなものを しっけいしている―クリーム・クラッカーが なくなっている。
  《「あれは きみが じぶんで たべてしまったんだよ」》

  ジンジャーとピクルスは おくの居間にいって ちょうめんを しらべて かしたかねを たしていきました。

  《「サムエルのやつの せいきゅうしょは やつのしっぽほど ながくなってしまってるよ。》10月からでも かぎたばこを 35グラムも もっていっている」

 《「1ポンド150えんのバターを 7ポンドと、インキびんが1びんと、マッチ1ほんだと、いくらになる?」
 「はいはい ごきげんよろしく」とかいて、ひとりのこらずのおきゃくに、せいきゅうしょを だしたまえよ」と、ジンジャーが こたえました。》

 すると、おみせのほうで おとが しました。見ると、かんじょうだいのうえにふうとうが のっていて じゅんさが なにか てちょうにかいているところでした。  
    
 ピクルズは びっくりして わんわん ほえて あっちこっち とんであるきました。
 《ピクルズ、あいつに くいつくんだ!くいつくんだ!」と、ジンジャーは つばを とばして さけびました。「たかが ドイツ製の人形じゃないか!」
 《それでも じゅんさは てちょうになにかをかいています。》えんぴつをなめなめ。1どは はちみちのなかへ つっこみました。

  《ピクルズは こえが かれるまで ほえつづけました。》でも、じゅんさはしらんかお。目はガラス玉で ヘルメットは いとで あたまに ぬいつけてありました。
  さて、ピクルズが さいごに ひとさわぎして きがつくと みせには だれもいず、ふうとうだけが のこっていました。

 ぜいきんの つうちでした。3、998えんでした。

 《「これで さいごの のぞみも つきはてた。みせをしめよう」ピクルズは いいました。》
 ふたりは よろいどを おろして ひっこしていきました。《でも、むらからは、でませんでした。どっかもっと とおくへ いってくれれば いいのにと、おもったひとたちも いたのですが。》

 《いま ジンジャーは、うさぎの森にすんでいます。そこで、どんなしごとをしているのか わたしは しりません。でも、でっぷりとふとって気らくに くらしているようです。》

  《ピクルズは いまのところ、森のけものが とられないように 見はりをするやまばんにんをしています。》

  《ピクルズとジンジャーが みせじまいをしたために ほかのものたちは たいへん ふべんなもいを することになりました。》
  タビタふじんは みせのしなものを ぜんぶ 10えんずつ ねあげしました。そしてあいかわらず かけうりは しませんでした。

 もちろん、にくやだの さかなやだのパンだのティモジーさんだだの、ぎょうしょうくるまは きます。
 《 けれども わたしたちは、かしパンやロールパンや、カステラだけで いきていくことは できませんものね。》

  《こういうことがあって しばらくあと、やまねこのジョンさんが むすめさんといっしょに、はっかドロップと ろうそくを うりはじめました。》でも、てごろな小ろうそくが なく 30センチろうそくは ねずみが 5ひきでかかえなければ はこべません。

  《それに このおみせの ろうそくは、ようきがあたたかくなると、たいへんみょうな ようすになるのでした。》

  おきゃくが もんくをいいにいっても ジョンさんのむすめは ろうそくを ひきとろうとしませんでした。

  《そこで、みんなが おみせのしゅじんの ジョンさんに くじょうをいいにいきますと、ジョンさんは ベッドのなから「ねこごちは じょうとう」というだけでした。おみせをしているひとが、こういうことで いいのでしょうか?》

  《そこで、めんどりのヘニー・ベニーが、ジンジャーたちのおみせを また ひらきますという ポスターをすって、みんなのあいだに まわしたときには、みんなも大よろこびしました。そのポスターには 「めんどりや かいてん 大やすうり!よりどりみどりの ざっかいち!どなたも こなたも 大かんげい!」と、かいてありました。》

 このポスターをみて かいてん日には みんな どっと おしよせました。おつりをかぞえて わたすのに ヘニー・ペニーは 気がおかしくなりそうでした。どうしても げんきんばらいで ねがいますと ねばったからです。《といっても、ヘニー・ペニーはべつに いじわるなひとでは なかったのですが。》

 《そして、おみせには、びっくりするほど さまざまな 見切り品がよういしてありました。
 そこで、だれもが 気にいるものを なにか 見つけることができました。》

            おわり 

読んであげるなら:4才から
自分で読むなら:小学低学年から
     
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