「東京五輪開催は再考されるべき」英医学誌が論考掲載

東京五輪開催の再考を求める論考を掲載した英医学誌のサイト(筆者がキャプチャー)
世界的に権威のある英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)は4月14日、今夏の東京五輪・パラリンピック開催は再考されるべきだと訴える論考を掲載した。
論考はまず、世界が未だパンデミック禍の真っただ中にあり、変異株が国際的な懸念になっていると指摘。そして、地球規模で感染が再拡大していると警鐘を鳴らした。
東京オリパラの開催国である日本については、「他のアジア太平洋地域の国々と違って、日本はいまだ新型コロナウイルスを封じ込めていない」と指摘。「日本の限定的な検査能力とワクチン接種の遅れは、政治指導力の欠如が原因となってきた。医療従事者や高いリスクを有する集団でさえ、東京五輪開催前までにワクチンが接種されないだろう」と述べた。
さらに、「海外観客の受け入れを断念したものの、2020年に日本政府が奨励したような国内旅行の増加で感染が日本国中に広がり、国際的に感染が輸出されかねない」と危惧し、「日本は、医療システムのひっ迫と非効果的な検査・追跡・隔離政策によって、東京五輪の運営力と大衆動員が起こす感染発生を抑え込む力が著しく損なわれかねない」と述べた。
東京五輪をめぐっては、12日付の米紙ニューヨーク・タイムズのコラムも「日本での感染が収まらず、ワクチン接種も滞るなかで東京五輪を開催するのは最悪のタイミング」と指摘。「3週間のスーパースプレッダー(超感染拡大)イベントとなり、日本のみならず国外に死者と疾病を広めかねない」と警鐘を鳴らした。
(関連記事)
●「東京五輪は抜本的対策なしではハイリスクのイベントになる」韓国の新型コロナ専門家が指摘
●Why the Tokyo Olympics must be canceled
●新型コロナワクチン接種、日本はG7で唯一開始できず――OECD37カ国でも日本など5カ国のみが未接種
●新型コロナ、日本のPCR検査数はOECD加盟国36カ国中35位。世界と比べても際立つ少なさ
