衆院選は「石破内閣に時間やチャンス与えるか問う選挙」負けをどの程度で食い止められるか 山梨大大学院・藤原真史准教授
2024/10/13
15日公示、27日投開票の衆院選について、山梨大大学院・藤原真史准教授(51)は産経新聞のインタビューに応じ、「党内基盤が強くない石破茂内閣に時間やチャンスを与えるかどうかを問う選挙でもある」と指摘した。
◇
今回の選挙では、政治資金問題、政治改革に対する有権者の厳しい姿勢が大前提となる。野党は選挙戦でこれをテーマにしてくるだろう。だが物価高対策や年金、子育て支援などで各候補はどんな将来像を描いているか。この点こそが問われることになる。
党内基盤が強くない石破茂内閣に時間やチャンスを与えるかどうかを問う選挙でもある。政権与党は一定程度の負けは想定しているだろうが、どの程度で食い止められるか。有権者には、首相の下でいろいろな問題に対処し、自民党を変えてくれ、という期待もある。そのチャンスを与えるかどうかも、大きな判断材料となる
首相は自民党総裁選のころのように、持論を強く打ち出し続けた方がよかったのではないか。党内野党的な立場だったが、いざ党総裁・首相に就くと、強気の姿勢を引っ込めてしまった印象を受ける。
私自身の研究テーマである地方創生が注目されている。自民党政権はかつての大きな柱であった国土の均衡ある発展路線から、小泉純一郎内閣以降、都市住民向けの施策を続けている。石破首相は地方重視を打ち出しており、地方を「リブランド(ブランド再生)」しようとしている。地方の創意工夫や主体性のあり方、活性化に向けた論戦も大いに期待している。
巨大都市の東京に近く、人口流出のハードルが低い山梨県にとっては、流出を食い止めることが大きな課題になっている。各候補は、こうした地理的環境を踏まえ、独自の具体的な人口減少対策を打ち出すことが重要だ。関連する労働力不足問題では外国人労働者の処遇改善など、共生のビジョンをどう示すかも争点となる。
ふじはら・まさふみ 島根県出雲市出身。専門は政治学(行政学、地方自治論)。早大院修了。趣味は美術館巡り。お薦めの一冊は沢木耕太郎著「テロルの決算」(文春文庫)。