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音楽大好き男の徒然なる日記

映画「ペーパーシティ・東京大空襲の記憶」は大事なメッセージ

2023-02-28 | 日記
朝日新聞 2023年2月28日付「天声人語」
 「ペーパーシティを観て」
  https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=61

白髪の男性がじっと一枚の写真を見つめている。
黒い血と灰色の粉じんにまみれ、戦場で呆然(ぼうぜん)とすわる少年の写真だ。
男性はつぶやく。
「私は、同じようなものですよ。
着てたコートは焼けあとで、ボロボロで」

公開中のドキュメンタリー映画『ペーパーシティ』の一場面である。
副題は「東京大空襲の記憶」。

1945年3月10日、一夜にして街の4分の1が焼かれ、
推定で10万人が殺された。
生き延びた人の証言が
重く静かに続く。


監督はオーストラリア出身のエイドリアン・フランシスさん(48)。
豪州や米国などの連合国側の国で第2次大戦は「グッド・ウォー」と言われてきた。
訳せば「よい戦争」だが、そんな単純な話なのか。

「東京の街にいた人の話を聞きたかった」


生存者たちは米軍への怒りとともに
「国に捨てられた」との無念さを訴えた。
日本政府は軍人らに補償をしたが、
民間の犠牲者は名前や人数の調査さえしなかった。
死者を悼む慰霊碑も作っていない。
日本も米国も「問題を早く忘れて欲しいかのようです」。


エイドリアンさんはチェコ出身の作家・
ミラン・クンデラの言葉を引用して語る。
「権力に対する人間の闘いとは、忘却に対する記憶の闘いにほかならない」。


冒頭で紹介した白髪の男性は星野弘さん。
映画の撮影後、87歳で亡くなった。
写真に写っていたのは内戦下の空爆で傷ついたシリアの少年だった。

不条理な戦火は時を隔て、
ところを変えて止んでいない。
その現実を改めて心に刻む。

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映画『ペーパーシティ 東京大空襲の記憶』(2023)予告編


オーストラリア出身のエイドリアン・フランシス監督による、
東京大空襲を題材にしたドキュメンタリー。

戦後70年以上が過ぎ、その記憶が薄れていく中、
大空襲の記録を残そうと奮闘してきた人々の姿を映し出す。

生存者である星野弘さん、清岡美知子さん、築山実さんらが出演すると同時に、
空襲中に米軍機が爆弾を投下する瞬間を撮影した映像や、
被災前と被災後の東京の様子がわかるアーカイブなども紹介する。


配給: フェザーフィルムス
(C) 2021 Feather Films Pty Ltd, Filmfest Limited
劇場公開:2023年2月25日

映画公式ホームページ
(日本語)
 https://papercityfilm.com/jp/?lang=ja
(English Version)
 https://papercityfilm.com/?lang=en


東京・シアター・イメージフォーラム
 2月25日(土)~公開中
 全席指定・定員入替制
 渋谷区渋谷2-10-2
 https://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/6077/

 



思考停止。

無かった事にする。

2011年3月11日の「東日本大震災」から際立って
政治・為政者は問題解決から急速に逃げ出したと思う。

原発事故。

憲法問題。

JR北海道。

全国のローカル線と貨物列車ネットワークの維持問題。

みんな現場の被害者や住民・国民の声に耳をふさいで壁を作って
「もう決めたこと」と逃げ廻る。

結果、人命やコミュニティよりも「保身・利権」だらけの社会に。

怒れる人の声を聴かないと
今こそ現場にいる人の声を救い上げないと
もう取り返しがつかない、
いち地域だけの、いち被害者だけの問題ではすまされない。
この国そのものが崩落してしまう、
「繁栄の裏に廻ればハリボテ」だったことがわかる
そこまで来てしまった。

そんな現実を改めて
この映画が教えてくれたと思う。

ぜひ。

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