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中国経済~ゆがんだ市場経済

2015-07-12 | 反中国

AIIBの野望も崩壊寸前 習政権、危険な“狂乱介入” 上海株ショック

夕刊フジ / 2015年7月11日 17時12分

 

 上海株式市場は10日午前も前日に続き大幅高となったが、強権的な株価維持策で中国市場のゆがんだ実態が白日の下にさらされ、習近平政権が失った信頼は計り知れない。取引停止中の銘柄が“時限爆弾”となり、暴落モードが長期化するとの見方もあるなか、アジアインフラ投資銀行(AIIB)で存在感を高め、人民元を国際通貨化として認めさせようという習政権の野望も、株バブルとともに崩壊寸前だ。

 上海総合指数は9日に5・8%高の上昇となり、10日午前も一時6%を超える大幅高で推移した。

 上昇の背景には当局の介入があった。9日には公安当局の幹部が証券当局に乗り込んだ。新華社電によると、中国公安省の孟慶豊(もう・けいほう)次官が調査チームを率いて中国証券監督管理委員会に出向き、同委員会と合同で「悪意のある」空売りに関して捜査することを決定。違法行為に対して厳罰で臨む姿勢を示した。

 当局のコワモテもあってか、市場は反発したが、実際には上海証券取引所のショートポジション(売り持ち)はごくわずかで、ブルームバーグは「間違った犯人捜しに当局躍起か」と冷ややかだ。

 国有資産監督管理委員会は9日、地方当局に対し、管轄の国有企業が上場企業の株式を買い増した状況を毎日報告するよう求める通達を出した。株を買わない国有企業を浮き彫りにする狙いで、事実上国有企業に買い増しを迫った。

 当局は株価維持になりふり構わないが、市場に下げ止まり感はみられない。9日には上海と深●(=土へんに川)の両市場で全体の半数を超える約1600銘柄が取引を停止、「潜在的な売り圧力を抱えており、取引が再開されれば売り浴びせを受ける」(銀行系証券)と警戒する。

 共産党中央宣伝部は国内の報道機関に「株式市場の問題が政治化するのを回避し、(批判の)矛先が共産党や政府に向かうのを防げ」と指示する緊急通達を出した。

 通達は(1)株式市場と政治を関連付けるな(2)株価の上昇や下落を冷静に、客観的に報道せよ(3)株価の動向を投資家が理性的に受け止めるよう世論を導け(4)誇張せず、評論記事は慎重に発表せよ(5)経済政策の成果を宣伝し、中国経済の先行きを前向きに伝えよ-などと指示している。

 ただ、投資家が冷静さを失うほど投機をあおったのは習政権自身だ。

 週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「不動産バブル崩壊を受けて、人民日報などが株式投資をあおった責任が重い。中国政府は間違った政策を、別の間違った政策でカバーしようとしているが、中国経済の基盤が変わらないので、政策失敗による損失は拡大していく」とみる。

 損失を被った個人投資家の政府への不信感がくすぶるなか、社会秩序の動揺が現実味を帯びてきた。証券監督管理委員会前では8日、株取引で数千万円を失った投資家らが特定の企業の名前を書いた紙を掲げ、株価暴落への不満を口々に訴えた。150万元(約3000万円)損したという女性(53)は「私たちの損害の責任追及を政府にしてもらいたい」と訴えた。インターネット上では「(政府に)だまされた」との書き込みも相次いだ。

 標準的な市場経済と大きくかけ離れた中国当局の姿勢が明るみに出たことは、アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立や現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」などの政策を打ち出し、国際金融の世界で存在感を示そうとしている習政権にとって大きな痛手だ。

 人民元をドル、ユーロに続く国際通貨にするという野望の実現も遠のきそうだ。ブルームバーグによると、野村ホールディングスの中国担当チーフエコノミストは、株価暴落を受けて、政策当局者が海外への市場開放に及び腰になる公算が大きいと指摘した。株価急落に見舞われている中国が資本自由化のペースを緩めれば、国際通貨基金(IMF)が今年行う特別引き出し権(SDR=IMF加盟国が資金を引き出す権利)の通貨バスケット見直しで人民元が採用される可能性が低下するという。

 前出の勝又氏は警鐘を鳴らす。

 「“社会主義市場経済”なるものを掲げて、国家があらゆる面で経済活動へ干渉する中国のやり方は、世界共通のルールから著しく逸脱している。世界の金融市場関係者は習政権の政策マネジメント能力に疑問を持っており、市場リスクの主役はギリシャから完全に中国に移っている」

 

日本株は、再度大きく下落する懸念がある ギリシャは峠を越えても「あの問題」が残る

東洋経済オンライン / 2015年7月12日 9時50分

日経平均株価は2万円の大台から滑り、いったんは大海に落ちた。終値で見て毎日の日経平均の変動が激しいが、日中の上下動も目が回るようだ。

■ギリシャは株価の材料としては峠を越えた

これまで東洋経済オンラインに定期的に寄稿する中で、この春以降は、2万円超では株価下落の可能性が高いと繰り返し述べてきた。

読者の方々におかれては、2万円以上の水準では、手持ちの株式をある程度売却する、あるいは少なくとも、大いに買い増しすることを避ける、という投資行動をとっていただけたのではないだろうか。

また、先週の株価下振れも驚きとはお感じにならず、落ち着いて対応なさったことだろう。読者の方々の投資行動に、当コラムが少しでもお役に立てたのであれば、とてもうれしく思う。

上述したような日経平均の乱高下は、まずギリシャ情勢によって引き起こされ、続いて次の理由は中国株価の暴落へと「バトンタッチ」された。アテネから船に乗って上海に着いたが、海が大荒れで、日本の株式市場は船酔いしたかのようだ。

ただ、まずギリシャ情勢については、内外市場の材料としては峠を越したようだ。これは、ようやくギリシャが債権団(EUなど)の要求を飲んで、年金カットなどの緊縮策に本格的に踏み出し始めており(ついでに、バルファキス前財務相も辞任という形でカットされた)、その見返りとしてギリシャに対する資金繰り支援策が再開される、という流れになってきたことだけではない。

そもそも、ギリシャの経済はそれほど大きくはない(日本円換算で25兆円程度と、埼玉県の県民総生産である21兆円に近い)。

欧州はともかく、日本や米国はギリシャと金融的な結びつきも薄い。ギリシャ危機は2010年頃からかなり騒がれており、今さらギリシャへの投融資をたっぷり行なっている投資家や金融機関もまれだろう(融資等があっても、それなりの引当金を積んですでに損金計上していると見るのが自然)。

すなわち、ギリシャ財政の改善そのものは容易ではなく、何年もかかる問題だが、それで日本や米国経済がどうなるか、という点では、そもそもギリシャ問題を騒ぐ「義理」はない、という見解に市場が帰着しつつあるようだ。

欧州自身についても、景気悪化となれば追加の量的緩和をECB(欧州中央銀行)が打ち出すだろうし、他国の国債が投機的に売り込まれれば、買い支え策も準備されている。こうした備えを背景に、独仏の株価は終値ベースで、7月7日(火)の七夕を底値に、反転上昇に向かっている。ユーロ相場も、対米ドルで1ユーロ=1.10ドルを一時割り込んだものの、その後は回復し、底固い。

■中国株に再度の下落リスク、実体経済への影響も

方、中国の株価下落は、ギリシャよりやや悪質だ。筆者は、中国経済が減速しているにもかかわらず、上海総合指数(中国国内向けを主体とするA株と外国人も取引できるB株で構成)が一時5000ポイントを超えたこと自体が無理筋だったと考えており、急伸前の株価ゾーンだった2000~2500ポイントまで下落して元に戻っても、おかしくないと見込んでいる。

中国株、特にA株は、原則として中国内に投資家が限られ、他国と資金的なつながりが遮断されているため、中国株価の変動が直接他国の株価に影響を与えることは見込みにくい。しかし、株価下落が中国経済を悪化させ、それが他国経済に波及する展開は警戒すべきだ。

日本経済への影響を、輸出面から考えると、2014年年間では、日本からの総輸出額のうち中国向けが18.3%を占め、米国向け(18.7%)についで第2位だ。

しかし、この輸出品が全て、中国国内が最終目的地とは限らない。たとえば日本から電子部品等を中国に輸出し、中国で加工して製品を輸出する、という他国向けも相当量あろう。中国経済の失速が起これば日本から中国向けの輸出は減るだろうが、中国の輸入製品需要の減退と並行的とは限らないだろう。

また、中国からの訪日観光客による、「爆買い」の減退を懸念する向きは多い。2014年年間の訪日外国人客数においても、中国からの観光客は全体の18.0%を占めていた。ただし、全外国人観光客による日本での消費総額については、日本のもともとの個人消費の0.2%程度に過ぎないと推計され、中国経済の悪化が国内の小売企業などに与えるダメージは、全体としては極めて限られている。

さらに、中国に進出した企業も、中国経済の悪化を以前から察知し、撤退を検討しているところも多いという。2014年は、米国からの対中直接投資は前年比で20.6%減り、日本からも同38.8%減っている。世界の企業が中国に前のめりなら、中国経済の失速は悪夢だろうが、多くの企業がすでにそれを予想しているため、内外の企業行動に混乱は生じにくいだろう。

■「米国大幅調整、日本株ツレ安」のシナリオ変わらず

中国経済悪化が及ぼす実態経済への影響については、まだ予断は許さないものの、ギリシャ情勢とともに、世界市場を揺るがす度合いは低下していくはずだ。

このため、今週(7月13日~17日)の日本株に関しては薄日が差し、日経平均は1万9700円~2万0200円が予想されるが、これは株式相場という航海における、いわばいったんの「凪(なぎ)状態」に過ぎないだろう。大揺れ船旅の次の寄港地は、ニューヨークではないか、と懸念している。

その理由は6月28日付の当コラム「日本株はギリシャ問題深刻化でどうなるか」でも述べたが、決して米国経済に波乱の芽があるわけではない。再度、米国が大揺れになるかもしれない理由をひとことで言えば、米国株式市場においては、S&P500指数のPER(株価収益率)の高さ(直近週で約17.3倍)が、金融相場だから妥当とされていたが、9月とも見込まれる利上げを織り込んで、PERの妥当水準(2006年以降の平均は14.9倍)に回帰すると懸念されるためだ。

ギリシャや中国の動向を踏まえ、米連銀が利上げを遅らせるとの期待があるようだが、米連銀はまさに米国の中央銀行であり、米国経済そのものが傷まない限り、9月利上げが既定路線だろう(イエレン議長の7月10日(金)の講演でも、ギリシャ等の海外リスクへの言及は弱かった)。

仮に米国のPERが、株価調整により17.3倍から14.9倍に低下すれば、約14%の株価下落となる。その際、同率で日経平均が下落すれば、1万8000円割れを覚悟する必要がある。内需回復という日本独自の要因で、日経平均が米国株ほどは下落せず、1万8000円割れを回避する可能性はある。それでも、先週で株価調整は終わりだ、と確信するのは危険だ。