やまの日々是平穏

とある通信会社勤務のやまの日常の出来事。映画、漫画、読書、音楽などなどの感想などを書いてます。

現状への違和感の正体。

2007年09月16日 | 日常の記録 略して日記
「……もちろん、国民は戦争を望みませんよ。運がよくてもせいぜい無傷で帰って来る位しかない戦争に、貧しい農民が命を賭けようなんて思うはずがありません。一般国民は戦争を望みません。ソ連でも、イギリスでも、アメリカでも、そしてその点ではドイツでも同じ事です。政策を決めるのはその国の指導者です。そして国民は常に指導者の言いなりになるように仕向けられます。
……反対の声があろうがなかろうが、人々を政治指導者の望むようにするのは簡単です。
国民にむかって、われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては、愛国心が欠けていると非難すればよいのです。そして国を更なる危険に曝す。このやり方はどんな国でも有効ですよ。

ナチスドイツ ゲーリングの裁判証言。

まさに、現代の日本の状態のような気がする。

ヱヴァンゲリオン新劇場版:序

2007年09月01日 | 映画・TV・音楽などなど
ネタばれありなのでご注意を











 あのエヴァンゲリオンが12年の時を越えて復活。元々テレビ用とは思えないほどの作画のクオリティーのアニメであった上に、ハイビジョン用にも耐えるリメイクを施された旧作をも超えるハイクオリティーアニメ。

 現状で、2D表現アニメとして最高峰の作品であると思う。2Dアニメに3Dアニメが境界線を感じさせない質感で表示されているのをみると、アニメにおけるCG技術の進歩を感じ取れるだろう。
 特に第5使徒 ラミエルの変幻自在の変化のモーションは素晴らしい。さぞ、担当者は泣いたことでしょうw。

 ストーリーの方はヤシマ作戦までは、ほぼ旧作と同じ展開をするものの、後半への複線を旧作と違って大量に撒き散らす。旧作からのファンであればニヤリとする場面の連続である。
 旧作よりもシンジは生きる動機が希薄で不安定な存在として描かれ、自分が行う選択も直接的な自分の欲求では行わず、悪く言えば他人まかせ。自己の肯定ができない存在として描かれる。
後半でおなじみの心理描写もはじめから登場。誰しもが持っている自己の存在意義を問う側面を徹底的に描く存在として登場する。

残念なのは劇場版の尺がきつくて、どうしても削れないエピソードが羅列的になってしまい、特に60分ぐらいまでは場面と場面の転換の間隔が短すぎて忙しくなってしまった。ひたすら台詞だらけで忙しい。
その分、クライマックスのヤシマ作戦はほぼ全編書き起しで力が入っている。

旧作のヤシマ作戦も序盤の山場で素晴らしかったけれども、それを超えるスケール感で描かれている。
新劇場版全体に言えると思うが、旧作ではそれほど出てこなかった一般人やネルフの職員が大量に描かれる。それによって、シンジが背負わされている命の重さ、期待を実感することができる。製作者の意図とは違うかもしれないが、大量に登場する一般人は観客である我々なのかもしれない。名も無き人々である我々を背負い込むことでシンジに対する観客の期待も高まるというものだと思う。

初見の人には1回見ただけではストーリーを把握するのは難しいことかもしれない。
でも、それはさして重要なことではない。迫力のある戦闘シーンを楽しめるだけでも十分鑑賞の価値はあると思う。
だいたい、旧作からのファンにしても、全ての複線を把握することなんて無理なのだから。


観るべし


公式サイト
http://www.evangelion.co.jp/