ぜじろぐ

SAMBATOWN・ゼジの書くブラジル音楽やその他あれこれ

今夜すべてのライヴイベントに捧ぐ

2010-11-22 00:44:57 | 日記

こんにちは、プロモーターのドン・キングです。
嘘です!
サンバタウン店主はそこまで商魂たくましくありません!

さて。
今日はちょっと真面目な、ていうか場合によってはどっかにケンカ売るような内容のネタを取り扱ってみたいと思います。
ある意味「開かずの間」的な話題であります。

ブラジル音楽に限らず、最近はライヴハウスという、音楽を楽しむことを主体として作られたハコのみならず、音出しもできてそれなりの数のお客さんを収容できるカフェや飲食店でライヴをやるパターンが激増してまいりました。これは店主の知る限り、もはや全国的な流れになっていると申し上げられます。

こういった現象は、そのお店のなじみ客であればもちろん、いわゆる「ライヴハウス」とかと縁遠い一般のお客さんであっても、気軽にライヴを楽しめるということにもつながり、音楽を楽しむ場が増えていっているという意味では良いことではないかと思います。
地元から愛されている店であればあるほど、集客力はそんじょそこらのライヴハウスの比ではありませんし、実際そういう店でライヴがあった日に満員御礼でなかったのを見たことがないという例をワタシは名古屋において実際に知っております。どこかは言えませんが!
ミュージシャン側にとっても、ライヴハウス以外に自身の表現の場を数多く見つけられるという状況になっており、しかも親密な雰囲気の中で演奏できたりするシチュエーションも多いわけで、そーなるとパフォーマー側としてやりやすい部分もあり、そういうハコの選択肢が増えること自体はありがたいことなのでしょう。

しかしワタシはここで敢えてそんな環境に冷や水をぶっかけるような問題提起をここでさせていただきたいと思います。
果たしてこのままで良いと思っていらっしゃるのでしょうか?と。

ミュージシャンの方々に問います。あなたは良いパフォーマンスをすべく日夜努力に励んでおられますか?
企画者の方々に問います。あなたはハコを満杯にすべく八方手を尽くして奮闘しましたか?
ハコのオーナーや店長さんに問います。あなたは本当にそのミュージシャンにここで演奏してほしいと、
ウチのお客さんに是非見て聴いてもらいたいという判断で引き受けましたか?
地元の世話人さんに問います。あなたはゆかりあるミュージシャンからライヴブッキングの話を持ちかけられた時「あ~あ、また頼まれちゃったよ・・・」とか思いませんでしたか?

言わずと知れたことですが、こういうライヴ会場となっているハコの多くは、元来が飲食店であります。すなわち飲食による売上でもって店の経営が成り立っているわけです。
あるミュージシャンがそこでライヴをやらせてもらうとしましょう。
満員御礼の場合であれば特に申し上げることはありません。ライヴも大盛り上がり、チャージ収入もきちんと採算が取れ、ハコの飲食オーダーも沢山入って、みんなハッピーというパターンです。
しかしそうでなかった場合を想像してみて下さい。
フタを開けてみればお客さんの数もまばら。
ミュージシャンのモチベーションも下がりがち。人によってはパフォーマンスにも影響するでしょう。
(個人的にはどんな環境下でもベストを尽くすような姿勢の人をワタシは応援しますが)
閑古鳥の状況ではお客さんも恥ずかしくて率先してノッたり踊ったりとかはしにくいですよね。
招聘を企画した(ていうか頼まれた)地元の世話人さんなんかも、収支を考えると胃が痛くなる思いです。ああ、今日も自腹を切らなきゃ・・・とかね。

そして何よりハコの「機会損失」、これがなんとも切ない。
ライヴとかイベントとか入れずに通常営業してればそれなりに売上もあがったろうになあ・・・という店のご主人の嘆きが聞こえてくるようです。

更に言わせていただくならば、そんな中、店の外にはライヴがあることを知らずにご来店されたお客さんの姿が。
「ごめんなさい、今日ライヴなんです」
「ええ~、せっかくゴハン食べに来たのに~。こないだも友達何人か連れて来たんですけど、なんかのライヴで入れなかったんですよお。今日もですか?」
「申し訳ございません・・・」
こういうことが舞台裏では日常茶飯事で起こっております。

おわかりでしょうか?
ミュージシャンやライヴ企画者の皆さんは、ライヴ一本こなすにあたり、そういうリスクを背負っているわけなんですが、やるんならそれを自覚した上でライヴを入れていただきたい。
ただ単に「このへんのスケジュール空いたし、どっかでツアー組んで回りたいなあ、前にやらせてもらったあそこやあそこなんかどうかな、雰囲気いいし、打ち上げも楽しいし、食べもんも美味しいし、地元の○○さんにまたちょっと世話してもらおう・・・」
そういう軽ーいお気持ちで臨まれているようでしたら、ワタシはそういう方々に対し、おふざけでないよと申し上げたい。
あなた方がそういう感覚でいらっしゃると、受け皿となっている人々の迷惑になるばかりか、ヘタしたらライヴやらせてもらうハコの本業を圧迫するという罪深い行為にもつながりかねないのです。
一度やらせてもらったから次もまた、という虫のいい考えはやめましょう。頼まれる側はたまったもんではありません。「やらされ仕事」ほど苦痛なものはないことは、社会人ならば誰しもおわかりのことかと思います。
そしてあなた方はいつしか各地で「押し売りアーティスト」という印象を持たれることになっていくのです・・・。

ミュージシャンやプロモーターの皆さんに今一度問います。
あなた方はライヴのブッキングにあたり、
そのハコから「是非ウチで」と請われましたか?
「ええ、まあ、その日は空いてるには空いてますけど・・・」みたいな反応ではありませんでしたか?
地元の世話人から「またこっちでライヴしてくれませんか?」とリクエストされましたか?
そうでなければ、はっきり申し上げます。
あなたのパフォーマンス(もしくはあなた自身)は少なくともその地では求められていません。
お呼びがかかるよう、もしくは自分から打診したら一発快諾してもらえるよう、ご自身の芸と人間性に磨きをかけていて下さい。

店主の経験した限りでは、良いライヴとは
招聘者の熱い想いと、
ミュージシャンの感謝の気持ちに裏打ちされた底力と、
地元の世話人の損得抜きの情熱と、
ハコ側の理解に満ちた協力姿勢と、
お客さんの虚心坦懐なリアクション、

これらが総合的に積み重なって実現するものなのです。
そしてそういうライヴが終わったとき、関係者は感激に打ち震え、ある人は泣き崩れ、お客さんからは「よかったです」の声がやまず、ハコの主人からは「来年も是非ウチで!」とのラヴコールが・・・。
良いライヴとはしぜんそういう風になるものなのです。

音楽を表現させてもらえる人達には、このことを是非頭のどこかに入れておいていただきたいと願うばかりであります。

ワタシはおカネを払ってまで残念なライヴなんて見たくありません。
そしてそんな残念ライヴに協力なんてしたくありません。

ワタシは心の底から、本気で、自分の関わっていく音楽の現場に向き合っていたいのです。

人前で歌い演奏する機会も時折ある自らへの戒めも兼ねつつ。

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1 コメント

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Unknown (oldnick)
2010-11-22 07:42:40
わかる、わかるぞ……!
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