座敷わらしの宿緑風荘が全焼！（続報）

「座敷わらし」の出る宿として有名な旅館「緑風荘」（岩手県二戸市金田一長川）が全焼した。

出火が確認された時刻は4日午後8時25分ごろ。近所の住民から二戸消防署に通報があった。
同消防署によると、木造2階建ての建物が全焼しており、とくに地下ボイラー室の燃え方が激しく、調理場近くにあったガスボンベの10本以上が爆発した跡もあったという。
近くの旅館経営者によると、300メートルの距離があったにもかかわらず、ドーンという爆発音が２回聞こえ、火の粉が飛んでいるのも見えたということだ。
入浴に来ていた男性は、出火後の爆発音の中「逃げろ」という声を聞き、玄関裏から急いで逃げたという。
宿泊客21人と従業員9人は全員避難しており、今回の火災による死傷者はなく無事だったという。これも座敷わらしのおかげなのであろうか。

緑風荘本館奥座敷にある「槐（えんじゅ）の間」には座敷わらしの目撃例が多くあり、今までも数多くの著名人が宿泊、目撃あるいはラップ音などの現象を体験している。多くのメディアで取り上げられた槐の間は、2011年の12月31日まで予約で一杯になっていたということだ。
ここに出現する座敷わらしには名前がついており、その名も「亀麿」と呼ばれている。その名前の由来として語られているのが、南朝の落ち武者伝説だ。
1300年南朝の武将が北朝方との戦いに敗れ落ち武者となり、南部藩（金田一）に落ち延びた。同行していた6歳と4歳の男子も、金田一までたどり着いたのだが、6歳の亀麿は病にかかって死んでしまう。亀麿は「末代まで家を守り続ける」と言って、息を引き取ったといわれている。
この亀麿が奥座敷「槐の間」に棲みつき『家の守り神』となり、時々客人に姿を見せたりいたずらをするようになったということだ。奥座敷の中庭にはこの亀麿をまつった亀麿神社も存在している。

この「槐の間」に宿泊し、成功をものにした有名人は数多く、なんと内閣総理大臣を４人も輩出している。東北遊説の際に宿泊した原敬、米内光政、福田赳夫、その息子の福田康夫がその４人だ。企業家としては、本田技研工業創業者の本田宗一郎がバイクでツーリング中に宿泊したといわれており、 パナソニック株式会社を創業した松下幸之助も宿泊している。

しかし残念な話だが、この火災により、しばらくは亀麿様の恩恵を受けることはできないようだ。（文・白戸）

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