陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「赤い靴」

2013-06-07 | 映画───サスペンス・ホラー
2005年の韓国映画「赤い靴」(原題では、「ピンクの靴」という意味)は、赤い靴をめぐって人びとに巻き起こる不吉な事件を描いたスリラー。のっけからまあなんともおぞましい演出が。でも、このテのホラーに見慣れた人間にとってはどうなんでしょうね。赤インク大量にぶちまけるけれど、心理的には追いつめるものがあまり。

赤い靴 [DVD]
赤い靴 [DVD]ビデオメーカー 2010-06-04売り上げランキング : 92005Amazonで詳しく見る by G-Tools


かねてから不和だった夫の浮気が発覚、幼い娘テスを連れて別居したソンジェ。
しかし、契約したマンションは不吉な気配が漂い、片目の視力がおかしくなるなど悪いことづくめ。

ソンジェは靴のコレクターで、地下鉄でふしぎと鮮やかな色合いの赤い靴を見つけ、それを持ち帰ってしまう。
内装を担当した芸術家肌の青年と親しくなるも、マンションで悪夢のようなできごとが次々に起こる。

赤い靴を履いたソンジェは、外見も派手になり、性格も大胆になっていきます。
いっぽう、赤い靴に魅せられた娘とそれを奪い合うことに。さらにはソンジェの友人である女医師ミヒがそれを持ち出したために、不幸な死に方をする。警察に事情聴取されたソンジェは、足を切られた女性の他殺体が連続して発見されていることを知らされ動揺。やがて、テスの容体にも異変が訪れて…。

モチーフになっているのはタイトルからお判りのとおり、アンデルセンの童話「赤い靴」。1948年にはバレエ映画として脚色されましたが、この映画でいえば、死ぬまで踊り狂いつづけねばならないターゲットとは、ヒロインのことだったのでありましょうか。しかし、最初に拾った者ではなく、そこから奪った者だけがみなことごとく不幸に陥っていく。

その後、赤い靴にかけられた呪いのいわくが明らかになっていくのですが、1948年版の映画をベースとして反日思想に彩られているとしかいいようがない種明かし。
そこで一応めでたしめでたしかと思いきや、とんでもない事実が! 
なぜソンジェが自室で恐怖に苛まれているのか、脈絡もなく夫の浮気相手が乗り込んできたのか、子供が父親をしきりと恋しがる理由、そのつながりが見えてきます。しかし、クライマックスのまとめ方がよくわからない。夏場をしのぐスリラーとしては、効果はイマイチかも。

監督はキム・ヨンギュン。
出演はキム・ヘス。恐怖におののく主演女優の演技力はありますね。


(2011年8月7日)

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 虫愛づる日々 | TOP | Love it! Love it! Love it! »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 映画───サスペンス・ホラー