陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「中国の植物学者の娘たち」

2011-10-30 | 映画──社会派・青春・恋愛
2005年のカナダ・フランス映画「中国の植物学者の娘たち」は、中国の奥地の植物園で、禁忌の愛をつむぐふたりの女性を描いたもの。

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父は中国人、母はロシア人の娘リー・ミンは、幼い頃に両親を亡くし養護施設で育つ。湖に浮かぶふしぎな孤島に暮らす植物学者チェン教授のもとへ実習生として赴く。偏屈者の植物学者には日々叱られてばかりだが、その娘アンに慰められる。アンもまた母を亡くし、厳格で研究ひとすじ、愛情のない父親に愛想を尽かしていたのだ。
ある日、温室で薬草を蒸したベッドに裸体で横たわるアンの美貌に陶然となり…。

それぞれになんらかの家庭事情を抱えた日本の女子中高生を主人公にした百合ものだったらばいくらでもありましょうが、これは、叙情豊かな密林を舞台にし、ふんだんに植物学の教養が盛り込まれ、あけすけな描写もなく上品なエロスにしあがっています。にしても、しぐさのひとつひとつや、なにげない物ですら、妙に艶っぽいニュアンスを帯びてくるんですよね。なにより中国語のアクセントって、なかなか色っぽい。ジャングルの蒸し暑さ、肌をすべる湿気がより煩悩を掻き立ててくれます。

姉妹のように仲睦まじかったふたりは、その一線を越えて、ひそかに温室で密会を繰り返すようになります。しかし、アンの兄がミンに横恋慕したことで、ふたりのあいだには波風が生じはじめます。それでも互いに惹かれあってやまないふたりには永遠の愛を誓い合うも、やがて悲劇が訪れます。
中国社会がマイノリティを受け入れないことを示すあの結末は、なんとも居たたまれないものがありますよね。

監督はリー・シャオラン, グエン・ニュー・クイン, ミレーヌ・ジャンパノワ, リン・トンフー。
出演は ダイ・シージエ。


(2011年8月20日)

中国の植物学者の娘たち - goo 映画

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