陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「プライドと偏見」

2013-03-13 | 映画──社会派・青春・恋愛

ブログのコメント欄でおススメされたので、2005年のイギリス映画「プライドと偏見」(原題:Pride and Prejudice)を視聴いたしました。ジェーン・オースティンの名作小説『高慢と偏見』が原作で、過去にいくども映像化されています。

原作も過去作も未見のまま観ましたが、派手な展開を期待していると前半はかなり退屈に感じます。後半のつぎつぎにふりかかる困難を超えて愛を強めていく二人の男女のすがたは、あまりどろどろしてはいないので、清涼感のあるラブストーリーがお好きな方にはお勧めでしょう。

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英国の緑豊かな田舎に邸をかまえるベネット家は、けっして裕福とはいえず、結婚適齢期の娘五人を抱えた大所帯。母親は婿探しに躍起で、娘たちを社交界にデヴューさせようとします。
美しい長女のジェーンは、隣に引っ越してきた資産家の子息ビングリーに見初められ、一家は浮き足立っています。しかし聡明な次女のエリザベスは、ピングリーの友人で詩人のダーシーの高慢ちきぶりに嫌気がさしています。

結婚に乗り気ではないエリザベスには、縁談がもちあがってきます。しかし、遠縁の冴えないコリンズからの求愛を退け、青年将校ウィッカムにも惹かれそうになる。けれども、ダーシーがついに彼女に告白。
ダーシーのプロポーズを受諾するかしまいか迷っているうちに、ふたりを引き裂くような巧妙なできごとが次々に発生。とはいっても、登場人物が亡くなるとか負傷するとかショッキングな不幸が起こっていくわけではないのですが、誤解を招くようなダーシーの振る舞いや周囲の讒言のおかげで、エリザベスの気持ちはいくどとなく揺らいでしまいます。この中盤からの展開は、まったく掴めないですね。

最終的には、エリザベスが素っ気ない態度をとるダーシーに不器用なほどの優しさがあることに気づき、結ばれることを決意。姉妹の恋の騒動もひと段落したので、父も納得させることができました。

時代は十八世紀末。この頃の中上流階級の女性は婚活にいそしむしか生きる道がなかったのでしょうが、このベネット家は作中財産なしといわれようと、邸内にはけっこうな美術品が並んではいますし、娘たちの衣装はたしかにきらびやかではないのですが、喰うに困らない生活はしているんですよね。ですので、数の多い姉妹の恋愛事情を描いた「若草物語」や、嫁にやる父親の悲喜を描いた名作ミュージカルの「屋根の上のバイオリン弾き」に比べたら、ひどくヴァイタリティの弱い生き方をしている女性のドラマだという気がします。

監督は、本作で長編映画初監督をつとめたロンドン出身のジョー・ライト。2007年の「つぐない」で、第65回ゴールデングローブ賞作品賞(ドラマ部門)を受賞しています。
出演は、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで気丈なヒロインエリザベスを演じたキーラ・ナイトレイ。相手役はマシュー・マクファディン。
父親役のベネット氏を演じたドナルド・サザーランドもなかなか存在感のある役どころでしたが、その息子が「24 -TWENTY FOUR-」の主役ジャック・バウアーを演じるキーファー・サザーランドなんですね。


(〇九年十二月二十三日)

プライドと偏見(2005) - goo 映画

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