陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「マインドハンター」

2011-06-29 | 映画───サスペンス・ホラー
2004年のアメリカ映画「マインドハンター」(原題 : MINDHUNTERS)は、孤島で起きる不可解な連続殺人事件にまきこまれた男女八人による、ミステリー。外部から遮断された場所での殺戮といえば、ミステリーもしくは、サバイバルアクションにはうってつけの状況。しかし、今回の登場人物は、全員が主人公かつ、疑わしいという点ですね。

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とある無人島に、ハリス教官の指導のもと、FBI心理分析官をめざす七人の訓練生たちが残された。
そこで受ける最終試験は、人形を死体に見立て、連続殺人事件が起きた想定で、シミュレーション捜査だった。
しかし、訓練開始早々、仲間のひとりでリーダー格のJDが、罠によって殺害されてしまう。サラたち七人の男女は、今回の捜査に同行した、得体の知れないフィラデルフィア市警の刑事ゲイブを真っ先に疑うも、本人はかたくなに無罪を主張。ゲイブは、教官のハリスが行き過ぎたシミュレーションを摘発すべく、内偵していたのだというが…。

殺害のトリックがなかなかバラエティに富んでおもしろいものの、最大の妙味は、互いの恐怖心を煽りつづけ、ラスト数秒まで、こころ休むことのない展開。
一致団結して犯人に対抗しようとする残りのメンバーですが、次々に巧妙にしくまれた罠によって絶命していきます。訓練生の心理を隙なく分析し尽くしたその遣り口に、戦慄をおぼえるとともに、各自、疑心暗鬼におちいってしまう。

たいがい、こういうサバイバルものは、恋仲におちいった(とはいわないまでも、共闘するうちに親しくなった)男女ふたりが生き残り、意外な真犯人を追いつめるものですが、はたして本作ではどうか?
ある意味、全員が被害者であり、かつ容疑者でもあります。黒幕かとも目されていた冷徹漢のハリスが中盤、意外な形で登場したために、犯人探しが難航。候補者というべきか、生き残りが三人までになった段階でも、まだまだ真相がみえてきません。

犯人がまったく読めない、念入りに裏に裏をかいたプロットという点ではおみごとという他ないのですが、個人的にはニ度は観たくはない作品ですね。

主演は、アクションシーンが冴える男をLL・クール・J 、ヒロイン格の生まじめな女性にはキャサリン・モリス、正義漢の強そうな好青年を演じたジョニー・リー・ミラーなど。
監督は「ディープ・ブルー」「クリフハンガー」のレニー・ハーリン。

大物アクションスターが主演すると、ほぼ確実に死線をくぐり抜けて終盤に派手なドンパチかカーチェイスかというミステリーが多いのですが、あまり日本では知られない俳優を用いたB級映画は、役得によって展開が読めたりはしないので、そこそこ楽しめますね。
日本の人気の刑事ドラマのようにベタなトリックに頷きながら役者の演技を味わい噛みしめるのがよろしいのか、それとも先の読めないずば抜けた話運びの連続に注目すべきなのか、評価はいろいろあると思いますが。

(2010年6月12日)

マインドハンター(2004) - goo 映画




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