日航機墜落事故というのは、戦後の日本を大きく揺るがした真夏の大惨事でした。
その事故に取材した新聞記者たちの葛藤を描く映画「クライマーズ・ハイ」
タイトルから山岳ドラマかと思っていたのですが、自然の雄大さどころか、狭い業界でのどろどろした人間ドラマです。映画ではなくて、事故の日にあわせた二時間ドラマにすればよかったのでは。…と思ったら、一度はNHKでTVドラマ化されていたようです。
原作は推理作家の横山秀夫の小説。
著者が地方新聞社時代に体験した事実に基づいているせいか、業界事情はよくわかります。
主人公は、群馬の地方新聞社に務める遊軍記者の悠木。
一匹狼の彼が社長命令で、日航機墜落事故報道の全権デスクに任命される。ふだんは現場に直行する彼が、駆けつけられないもどかしさ。現場の惨状を目の当たりにして、気が触れた記者との口論。大抜擢された悠木を妬んだ上司との軋轢。取材のネタを競って奪い合おうとする記者たち。
新聞業界という特殊社会でも、サラリーマンなら経験するような困難が、襲います。
さらには、販売部で親友の安西が、脳内出血で倒れたという痛手も受ける。
悠木は遺族のために一面トップ記事に正確な情報を載せたいと考えていますが、地元紙ならではのしがらみで反発を喰らったり。
受賞狙いで遺族感情を無視した社員の言動には、腹立たしいですね。
あとよく言われることですが、販売部の過酷な労働環境と、編集部の差別意識。
実際の事故の犠牲者遺族にしたら、この事故をネタにしてほしくなかったという思いもあったような。
犠牲者の悼みなどについてはほとんど語られていません。ただ、事故事件を食い物にする記者の強欲が描かれているだけ。
とちゅう、退屈で目を離してしまったくらい。
それにしても、毎日新聞社がスクープしたという事故原因が核兵器というのは、ほんとうなんでしょうかね?
喧嘩腰なくせに、いざとなると個人的な生い立ちから、スクープを逃してしまった主人公の不甲斐なさにもあまり共感できないです。しかも、それをまた二番煎じで報じさせるという(読者の大半が地元民なので、メジャー紙に遅れをとってでも記事にして伝えなければという使命感はあったかと思いますけど)
特権意識をもったマスコミ業界人の自己満足ドラマという雰囲気がありありと窺えます。
命を扱ったネタを糧にしているその彼らの闘いが、命がけでもなんでもない、信念のなさというのに少し失望。
ラストは、全然事故とは無関係で終わっています。
航空機事故を材とした映画の良作に「ユナイテッド93」がありましたが、日本はああいう大がかりなスケールでのパニック映画がつくれないので、どうしてもこじんまりした愛憎劇に堕してしまう傾向があるのかな。
主演の堤真一とか、高嶋政宏とかキャスティングはよかったんですけどね。
(〇九年八月八日)
クライマーズ・ハイ - goo 映画
その事故に取材した新聞記者たちの葛藤を描く映画「クライマーズ・ハイ」
タイトルから山岳ドラマかと思っていたのですが、自然の雄大さどころか、狭い業界でのどろどろした人間ドラマです。映画ではなくて、事故の日にあわせた二時間ドラマにすればよかったのでは。…と思ったら、一度はNHKでTVドラマ化されていたようです。
原作は推理作家の横山秀夫の小説。
著者が地方新聞社時代に体験した事実に基づいているせいか、業界事情はよくわかります。
主人公は、群馬の地方新聞社に務める遊軍記者の悠木。
一匹狼の彼が社長命令で、日航機墜落事故報道の全権デスクに任命される。ふだんは現場に直行する彼が、駆けつけられないもどかしさ。現場の惨状を目の当たりにして、気が触れた記者との口論。大抜擢された悠木を妬んだ上司との軋轢。取材のネタを競って奪い合おうとする記者たち。
新聞業界という特殊社会でも、サラリーマンなら経験するような困難が、襲います。
さらには、販売部で親友の安西が、脳内出血で倒れたという痛手も受ける。
悠木は遺族のために一面トップ記事に正確な情報を載せたいと考えていますが、地元紙ならではのしがらみで反発を喰らったり。
受賞狙いで遺族感情を無視した社員の言動には、腹立たしいですね。
あとよく言われることですが、販売部の過酷な労働環境と、編集部の差別意識。
実際の事故の犠牲者遺族にしたら、この事故をネタにしてほしくなかったという思いもあったような。
犠牲者の悼みなどについてはほとんど語られていません。ただ、事故事件を食い物にする記者の強欲が描かれているだけ。
とちゅう、退屈で目を離してしまったくらい。
それにしても、毎日新聞社がスクープしたという事故原因が核兵器というのは、ほんとうなんでしょうかね?
喧嘩腰なくせに、いざとなると個人的な生い立ちから、スクープを逃してしまった主人公の不甲斐なさにもあまり共感できないです。しかも、それをまた二番煎じで報じさせるという(読者の大半が地元民なので、メジャー紙に遅れをとってでも記事にして伝えなければという使命感はあったかと思いますけど)
特権意識をもったマスコミ業界人の自己満足ドラマという雰囲気がありありと窺えます。
命を扱ったネタを糧にしているその彼らの闘いが、命がけでもなんでもない、信念のなさというのに少し失望。
ラストは、全然事故とは無関係で終わっています。
航空機事故を材とした映画の良作に「ユナイテッド93」がありましたが、日本はああいう大がかりなスケールでのパニック映画がつくれないので、どうしてもこじんまりした愛憎劇に堕してしまう傾向があるのかな。
主演の堤真一とか、高嶋政宏とかキャスティングはよかったんですけどね。
(〇九年八月八日)
クライマーズ・ハイ - goo 映画
クライマーズ・ハイの事を検索していてたどり着きました。
核兵器じゃなくて、隔壁ですよ。
客室の気圧を保つ壁のようなもので、これが壊れて尾翼が吹き飛び、操縦不能になったんです。
聞きまちがいだったようですね。
流し見だったのでうろ覚えなんですが。主人公の父親が米軍兵士だったので、原因が核兵器というスクープが出ても記事にできなかったのだと思ってました。
今度はうちのいい加減記事にヒットなさらないことを祈ります(笑)
ちゃんと観てないのに批評するっていうのもまた大胆ですね。
父親があの新聞社の社長ではないかとも匂わせてましたが、けっきょく分からずじまいだったような。