陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ブレイブ ワン」

2013-05-20 | 映画───サスペンス・ホラー
2007年のアメリカ映画「ブレイブ ワン」(原題:The Brave One)は、ジョディー・フォスター主演、さらには製作総指揮もつとめたR-15指定サスペンスアクション。婚約者の死をきっかけに、犯罪者に制裁を加えていく女性が主人公。

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ニューヨークでラジオ・パーソナリティを務めるエリカ・ベイン。
医師のデイヴィッド・キルマーニとは婚約間近だが、6月のある晩の散歩中、二人は数人の暴漢に襲われてしまう。フォアンセは殺され、エリカも瀕死の重傷。さらに警察が犯人の検挙に及び腰であったことが、彼女の絶望に拍車をかける。

やがて、怒りに満ちたエリカは護衛用に銃を購入。
偶然居合わせたコンビニで強盗を射殺したことをきっかけに、犯罪者狩りを行うようになって…。

米国社会の病理を抉りだすようなドラマなのですが、こんなことが現実に起こりうるわけがないという反論は承知のうえ。だからこその映画なのです。自分の愛する人を奪われたら、自分の手で復讐を果たしたい、ひいては同じような不幸を世の人に味わわせたくないがために働きたい。その気持ちは誰にでもあるはず.しかし、その正義心が許されるか否か。

仕事柄、街の喧噪を録音して回るのが常の彼女は、ニューヨークの恐怖すくう闇を嫌というほど実感させられてしまう。もはやひとかどの暮らしですら安全ではない。憑かれるように次には、地下鉄車内で暴れる二人組のチンピラを狙撃したエリカ。やがてニューヨークにはびこる謎の処刑人が話題を呼び、エリカのラジオ番組のリスナーの声にも上がるほどに。

エリカと対極の位置にあるのは、法と職務に縛られて、個人の倫理に懊悩する若手の黒人刑事ショーン・マーサー。彼はエリカが処刑人であることに勘づくようになるのですが…。

ラストではついに処刑人の正体がバレたエリカとショーンが遭遇。
にっくき恋人の敵討ちを是が非でも果たしたいエリカ。そのことを誰よりも理解するショーンがとった選択は刑事としては絶対にあってはならないことですが、人情にほだされた人間としてはありうるもの。しかし、けっしてエリカが救われるわけではない。過去に犯した罪が拭われるわけでもない。それ自体を彼女自身がよく知っているからこそ、悩みは尽きない。課題を突き付けたかたちで終わっています。

監督は「インタヴュー・ウイズ・バンパイア」のニール・ジョーダン。
共演はテレンス・ハワード、ナヴィーン・アンドリュースほか。

R-15指定のわりには、猟奇的なシーンはあまりなかったような。


(2011年8月12日)

ブレイブ ワン - goo 映画

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