陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「蠅の王」

2014-05-01 | 映画───サスペンス・ホラー
1990年のイギリス映画「蠅の王」(原題:Lord of the Flies)は、海で遭難した24人の少年たちが流れ着いた無人島で起こす悲劇を描いた青春映画。タイトルは聖書に登場する悪魔ベルゼブブのこと。

蝿の王 [DVD]
蝿の王 [DVD]20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント 2003-04-11売り上げランキング : 71490Amazonで詳しく見る by G-Tools




陸軍幼年学校の生徒たちを乗せた飛行機が海に墜落。遭難した少年たちは、負傷したベンソン機長を連れて命からがら南太平洋の無人島に漂着。リーダー格のラルフの提案で、規律正しく生活することを誓います。

しかし、みそっかすの少年をめぐって諍いがあったり、のろし用の火を起こそうとして火事になりかけたり、危ういことばかり。大自然に囲まれた島の暮らしになじんだ子供たちは、食糧を集めもせず、盗みや勝手放題に遊んでばかり。

やがてベンソン機長の姿が消え、少年たちは、ラルフを長とするメンバーと、金髪の少年ジャックを中心とするメンバーとに二分。後者は野生に目覚めて猟奇的になっていきます。洞窟に住む怪物の話がもちあがっても戦おうとしないラルフを慕う者は時間を追うごとに少なくなります。ナイフすら奪われてしまうラルフ。

狩りの本能に目覚め、食糧を手に入れたジャックたちは興奮状態で槍を振りかざし、そのために忌まわしい事故が起きてしまいます。略奪と暴力をふるうジャックたちの横暴はエスカレートするばかり、これが法治国家の先進国に生まれた人間のすることかと呆れるばかり。外からの支援を求めるために一致団結をうながすラルフとピギーの説得もむなしく、ジャック一派はかたくなに抵抗し自分たちの王国を守ろうとします。

悪夢のようなジャックたちの乱心は、ラストであっけなく終わってしまいますが、子供の心に住む残虐性というのはまあなんとそら恐ろしいものなのでしょう、と訴えるだけの物語でしたね。ショッキングなだけで救いようがない。青春映画というよりホラーの部類ではなかろうかと。子供がうっかり手にとってしまうかもしれないので、もっと道義的に解決できる道筋を示してほしかったですね。

監督はハリー・フック。
出演は バルサザール・ゲティ, クリス・フュール。
原作はウィリアム・ゴールディングの小説。

(2011年5月29日)

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ぶろんず・うぃーく2014 | TOP | 図書館は作家を殺すのか? »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 映画───サスペンス・ホラー