陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

日本映画「東南角部屋二階の女」

2016-10-31 | 社会派・人生映画
2008年の邦画「東南角部屋二階の女」は、現代社会の隅っこで生きる三人の若い男女を主軸にしたヒューマンドラマです。監督は池田千尋 。

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サラリーマンの野上は、亡き父の残した借金の返済のために、祖父名義の土地の売却を思いつく。が、その土地には古いアパートが建っていた。
借金から逃れたさに家付き娘との見合いをもくろむが、その相手はフリーのフードコーディネーターの涼子。三十路が近いのに縁遠く、経済的にも行き詰まって、結婚に逃げようとする。
いっぽう、野上の失業に引きずられるようにして辞職したのは後輩の三崎。仕事に嫌気がさして辞めたはいいが、同棲中の彼女にも追い出されてしまう。

この三人が野上の祖父が所有するアパートで暮らしはじめます。
この男女三人の三角関係のように思われてその実、そうではない。もうひとりの主人公がアパートのオーナー飲み屋の女将の藤子と、祖父・友次郎なんですね。涼子がころがりこんだ二階部屋の隣室にある秘密を知った三人は、

淡々としていて前半はかなり退屈です。
後半からはいいお話になってくるのですが、想い出を守っていくためだけに高い利息の借金を背負っていきようとする主人公という綺麗なまとめ方が、現実味を帯びていないように感じられもします。

香川京子、高橋昌也(前半は表情が分からないようにあえて遠巻きに映していたのが、ある場面でアップになったときの顔がなんともいえない)、そして塩見三省というベテラン俳優の存在感でいい味を出してはいるのですが、西島秀俊、加瀬亮、竹花梓の若手が喰われているような印象。
監督が二十代の女性だからか、キャリアを望んでシングルを続ける女性の生き様は伝わってくるけれど、男性サラリーマンの悲哀というものがいまひとつ表現されていなくて(特に三崎はクレーム相手を電話だけで済ましているため仕事の辛さが分かりづらい)同情する術がありません。

現実にありそうなことをそのままドラマにしたという感じで、もうすこし、思いがけないひねりがあってもいいのではないでしょうか。救いのない世の中だからこそ、ありえない救いの物語で救われてもいいのではないかと。


(2011年4月4日)

東南角部屋二階の女 - goo 映画
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