陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

日本映画「大奥 百花繚乱」

2012-04-19 | 映画──社会派・青春・恋愛
2008年の日本映画「大奥 百花繚乱」は、もうタイトルがすべてを語っておりますね。テレビでも大ヒットした大奥を舞台にした花の大江戸ラブストーリー。其の三部作のひとつの本作は、三代将軍家光と下町の娘との身分違いの恋に焦点をあてています。

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江戸時代初期、寛永二十年。
大奥には将軍以外男子禁制を敷く「裏大奥」とよばれる一角がありました。
世継ぎのできない家光は苛立ちを抱えています。

ある日、枯れ桜の下で、家光は明るい村娘のお春に出逢います。
彼女はのちに江戸城大奥の下女として務めることになり、家光と再会を果たします。家光にすっかり見初められてしまったお春ですが、かつての女中仲間ふくめた側室からは嫉妬を向けられてしまい…。

春日局役はいいとして、主演の男女の喋り方、振る舞いがどうしても時代劇にそぐわないのですよね。あのぶっきらぼうな口調の家光(カツラのラインが額に浮かび上がっていておかしい)、舌足らずなお春、どうにかして。時代劇のベテランが関わっていたらもっと演技指導とかされているように思うのですが。「百姓」のことを「農民」とか呼んでるし。

江戸時代初期に薔薇はもたらされていたようですが、ああいう大奥の場所でやりとりするのは和風の雰囲気にそぐなわないんですよね。
それと武家生まれではない娘だったらたとえ若い侍とはいえ、あんなにタメ口は利けない時代だと思うのですが、などなどいろいろな疑問ばかりが募ります。

予算がないせいか人出が少なすぎて華やかさがなさすぎ。ふつうもっと取り巻きとかいるでしょうし。
カメラがやたらと小刻みにぶれているのも安っぽいドキュメンタリーか自主映画にしかみえません。大河ドラマとしての風格が画面からまったく滲み出てきませんよね。そしてBGMがなんとなくタイタニックを意識してるような曲調にも聞こえる。大河ドラマにかこつけて、男女のラブシーンを録りたかったにしか思えませんでした。

筋書きとしては終盤の展開は嫌いではないんですけれどね。
ありきたりなんだけど、あえて身をひこうとする女の潔さはやはり切ない。とはいえ、ラストはハッピーエンドです。

監督は山本清史。
出演は鈴木裕樹、弥香、滝沢乃南ら。


(2011年7月13日)

大奥 百花繚乱 - goo 映画

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