陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ポンヌフの恋人」

2013-10-17 | 映画──社会派・青春・恋愛
1991年の「ポンヌフの恋人」は、パリのポンヌフ橋を舞台にしたラブストーリー。…と書くとすごくロマチックなのですが、じっさい中身はかなり狂気じみています。

ホームレスの青年アレックスが車に轢かれ、収容されるのを見つめていた画学生のミシェル。
数日後退院したアレックスは、寝床にしていた改修間近のポンヌフ橋で、眠っていた彼女を見つける。橋に同居していた老人のハンスの許しも得て、ふたりの橋での暮らしがはじまった。

ミシェルが失明寸前なこと、そして失恋から放浪生活に陥ったことを知ったアレックスは、かつての恋人ジュリアンのことを思い出させないように画策する。
ミシェルはアレックスに惹かれていくが、ほんとうの恋人どうしにはまだなれない。そしてやがて、ミシェルが放浪生活から足を洗うような朗報が届く…。

この青年アレックスはけっして美男子ではないのですが、ひたすらミシェルには一途。天涯孤独の生活で得たさいしょの恋だったのでしょう。しかし、ミシェルを旅立たせたくないためにおこなった行為が、目に余ります。いくら愛する人を失いたくないからって、放火したり殺人しちゃだめでしょう(苦笑)

最終的にはこのふたり、結ばれてしまうのですがね。
アレックスの愛し方はかなり重いので、その後、うまくいくのか不安になります。

ミシェルと同様に、橋で暮らす隣人のハンスもかなり複雑な人生。薄汚れた街の暗部で暮らす彼らとは対称的に、華やかな花火や音楽で賑わっている夜のパリ。その花火の映る川辺をジェットスキーで疾走するふたりなど、なかなか幻想的で美しいイメージも多い。かなり刺激的なラブストーリーですね。

監督・脚本はレオス・カラックス。「ボーイ・ミーツ・ガール」「汚れた血」につづく”アレックス青春三部作”のひとつとされています。

主演はミシェルに、「イングリッシュ・ペイシェント」で献身的な看護婦ハナを演じたジュリエット・ピノシェ。
アレックス役には、ドニ・ラヴァン。

ポンヌフの恋人(1991) - goo 映画

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