陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

日本映画「20世紀少年」三部作まとめ

2010-09-05 | 映画──ファンタジー・コメディ
夏休みのファミリー向け映画でしょうか。
金曜ロードーショーで、三周連続で放映されていた「20世紀少年」三部作を観ました。

第一作(2008年作)めで、主人公ケンヂたちが少年時代にでっちあげた「よげんの書」どおりの、地球滅亡計画がスタート。
続編「第二章 最後の希望」(2008年作)では、ケンヂの遺志を継ぐ旧友たちや、姪のカンナが謎の組織のリーダーともだちを阻止すべく暗躍。

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そして「最終章 ぼくらの旗」(2009年作)では、すでにともだちの組織が全世界を支配する時代。レジスタンスを率いるカンナを巡る秘密も明らかになり、遂にともだちと対決。その正体が暴かれます。


前二作は、時代がファンタジーとして作りこまれていないために入り込めなかったし、人間関係が複雑で処理しきれない(呼称がニックネームばかりでわかりづらい)まま、断片的に解決されないままの謎ばかりが飛び出してくるので、不満感がありました。
最終章で、いろいろ分かってすっきりしましたね。
第一章でともだちの後ろ姿がある俳優に似ていたので、もしや、と思っていたけれど、うまく騙されました。
監督が「TRICK」の堤幸彦だけあって、演出はそれなりにおもしろいけれど、ドラマでよく見かけたという既視感もあったり。

劇場版と異なるというあのエンディングは、ありていに言えば、よくあるバック・トゥ・ザ・ヒューチャーもどき。ただ、救われる気持ちにはなりますね。TVでお子樣も観ているから配慮したのですかね。

唐沢寿明と豊川悦司が演じたあのふたり、不良中年を美化してもてはやして描いていて、あまり好きではないです。作中にやたらとレトロなモチーフが登場するのも、おじさん世代のおたく趣味を見せつけられているようで。
あのウルトラマンを思わせる地球防衛軍とか、ふるくさい円盤とか、思わず笑ってしまって、最終戦の緊迫感が掻き立てられませんでした。
まったく子どもの視点で友情の大切を説く。そういう番組を見て育ってきた大人が、友情を信じきれない。そんな哀しさを感じさせもします。
真犯人は、誰かに「友だち」と呼ばれたいから、「ともだち」を名乗った独裁者。英雄と名づけられたのに、ヒーローになれない子どものやるせなさと似ています。

世界を救うヒーローになる、なんて妄想をするぐらいなら、身近で泣いている友だちぐらい救っちゃいなさいよ──そういう問いかけではなかったかと思います。
でも、子どもの頃誰からも愛されていて、何不自由なく育った人のほうが、自分の思いどおりにならない社会に出てひねくれてしまう…というのが、当世の実情では。

出演者が豪華なのですが、そのぶん、役者にクセがありすぎて動きが読めそうなところが、実写ファンタジーの難しさですね。二次元のキャラクターに実在の人物を矯正させようとすると、良さがなくなってしまいそう。少年少女ならともかく、大人が主人公の漫画は、へたに実写化しないでアニメ化のほうがいいのではないでしょうか。ある世代以上しかわからない昭和のネタが多いから、実写にしたのかもしれませんが。

原作は『YAWARA!』で有名な浦沢直樹。
私は『MONSTER』と『マスターキートン』が好きでした。

(2010年8月27日)



20世紀少年 - goo 映画

20世紀少年 第2章 最後の希望 - goo 映画

20世紀少年<最終章> ぼくらの旗 - goo 映画


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