陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ターンレフト・ターンライト」

2008-12-21 | 映画──社会派・青春・恋愛


悲劇は偶然のたまものだからおもしろく、喜劇は周到に練られたものだからこそおかしさが倍増する。ふとそんなふうに考えてしまいます。

二週間ぶりに「地獄少女」を観たら、寝つけなくなってしまい、深夜の映画鑑賞にふけてしまった管理人です。
原題は向左走・向右走、〇三年(日本では〇四年)公開の香港の映画。またしても金城武主演です。

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タイトルからしてシリアスな展開を予感していたのですが、これがすさまじいラブコメディ。絵本作家の小説が原作といいますからさいしょは劇画チックで子供だましかなと侮っていたものの、いやぜったいこんなんありえんでしょう、みたいな話の連続で最後まで目が離せなくなってしまいます。

あらすじは以下のとおり。
貧しいヴァイオン弾きの青年、ジョンと出版社に雇われのドジッ娘(でも、眼鏡はかけていない(笑))翻訳家イヴは、公園で運命的な巡り会いを果たす。ふたりは十三年まえにサマーキャンプで出会って淡い恋心をいだいた仲だったが、音信不通になっていたのだった。互いの電話番号を交換しあい、夕立ちのなか別れたふたりだったが、翌日、そのメモに書かれた番号は雨に滲んで消えていた。
じつはこのふたり、壁一枚へだてて接する二棟のアパートの住人どうし。しかし、入口がことなっていて、玄関からいつも右へ走るジョンと、左へ向かうイヴは顔をあわせる機会がなかったのです。大都会の人波に呑まれながらも、ニアミスをくりかえしてすれ違ってばかりの男と女。

このふたりにからんでくるのがなんとも強烈な個性のふたり。食堂につとめるウェイトレスでがさつな気性の娘はジョンに横恋慕。医者で大学時代からの片想いだったというなかやまキンニくん(笑)みたいな男はイヴにつきまとって離れません。このウェイトレスと医者はふたりが近いのに遠い恋人であるのをいいことになんとか逢わせないように画策するものの、気持ちを動かせない。このいじわるなふたりは後ほど意気投合して、ジョンとイヴをめあわせる、あるトリックをしかけるのですが…。

最終的に運命のふたりが再会するのは、まさにとんでもない自然の采配!にしても、これでもか、これでもかというぐらいに用意される別離のセッティングの連続にはおもわず苦笑い。

香港映画で近年作だというのに街並がどことなく日本の昭和を感じさせるのは、室外のロケが台北でおこなわれたせいなのでしょう。携帯電話もメールもなく、気持ちは十三年間ずっと結ばれていたのに、あんなにも近くにいるのに、お互いに自分の好きな道に没しているためにいっこうにつながらない。しかも、互いの名前すら告げずに、学籍番号でよびあう。まるであの会えるようで会えない古典ラブストーリー「君の名は」を思い起こさせるような話運び。
近年、アジアンムービーや韓流ドラマがはやっていますが、その人気はやはり、古今東西通奏底音するロマンスをもとめてやまない気持ちに裏打ちされているからなのでしょう。




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