陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

日本映画「博士の愛した数式」

2013-04-21 | 映画──社会派・青春・恋愛
邦画をあまり観ない私ですが、題材がなかなかおもしろかったため手にしてみたのが、2005年の映画「博士の愛した数式」
交通事故の後遺症で記憶が八〇分しかもたないが、たぐいまれなる数学の天才である老年紳士と、家政婦のシングルマザー、およびその息子との、こころの交流を描くヒューマンドラマです。

博士の愛した数式 [DVD]
博士の愛した数式 [DVD]おすすめ平均 stars瞬時と永遠stars80分タイマーについてのありがちな誤解stars男と女の関係式の多様性stars詩的な映画。どうも「金髪の草原」とダブるのが・・・stars涼宮ハルヒも読んだにちがいない。Amazonで詳しく見る by G-Tools



家政婦の杏子は、十歳の息子を抱えて働くシングルマザー。
ある日、新しく紹介された雇い先は、もと数学の大学教授と、その義姉の未亡人が暮らす田舎の家庭だった。

博士は不慮の交通事故で記憶が持続せず、ある時間ごとに記憶がリセットされてしまう。そのたびごとに、杏子は新しい家政婦として自己紹介するのがならわしだった。これまで数人が辞めていった厄介な相手だったが、博士の時おり語る数式への情熱にこころ惹かれた杏子は、博士との暮らしを楽しみはじめる。
杏子に息子がいると知った博士は、自分の暮らす離れに住まわせることを希望。博士は、息子のことをルートと呼んでかわいがる。野球好きが嵩じて、ふたりはあたかも父子のように仲良くなっていく。
だが、未亡人は博士に接近しすぎた母子を疎ましく感じはじめていた…。

じつは、この未亡人と博士は道ならぬ恋をした仲。ですので、まるで疑似親子のようにいる三人に嫉妬してしまうのですね。
八〇分で記憶が途切れる博士だが、自分との愛は覚えていてくれるだろうと願っていた未亡人。ところが、博士にとっては、彼女すら一時的な想い出のかけらに過ぎません。しかも、現在はこまごまと面倒を見てくれる杏子、そして親しくなったルート少年のほうを気に入っています。
難癖をつけて母子を追い出した未亡人ですが、けっきょく博士とルートとの絆に折れて、再雇用を決意。こうして、ふたたび母子には博士と過ごす喜ばしい日々が戻ってきました。

この物語は、大人になって教壇に立ったルート先生が、教え子に語るという体裁をとっています。
学生時代、数学が大の苦手だった私ですが、こういう教え方をしてくださったら興味がもてたかもしれない。数字のもつ神秘的なからくりを、噛み砕くようにやさしく説明するシーンがなんとも味わい深い。

博士役には、寺尾聡。家政婦には「踊る大捜査線 THE MOVIE」でおなじみの深津絵里。大人になったルート先生役は、吉岡秀隆。

監督は「阿弥陀堂だより」の小泉堯児。
原作は小川洋子の同名大ベストセラー小説。
音楽がなんともいえず哀愁を掻き立てる旋律ですね。


博士の愛した数式(2005) - goo 映画

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 村上春樹の小説『1Q84』 BOOK3 | TOP | 黄金いろ週間2013 »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 映画──社会派・青春・恋愛