陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ステキな彼女」

2011-01-29 | 映画──社会派・青春・恋愛


映画「ステキな彼女」は、1980年作の香港映画のニューウェーブ、候孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の幻のデビュー作。代表作は「非情都市」「珈琲時光」、日本では飲料水などのCMも手がけています。

本作は年代が年代なため、ファッションが野暮ったく感じられるのですが、観ているうちにハマってしまう面白さ。すばらしいラブコメディです。

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財閥のひとり娘ウェンチーは、父親の持ってきた縁談に気乗りがしない。田舎にある叔母の家に身を寄せた彼女は、そこで測量技師の青年ターガンと出逢う。破天荒で大らかな彼に惹かれていくが、自分の気持ちを押し込めて台北に帰国。
だが、見合い相手の財閥の御曹司チェンとの婚約披露パーティーで、ターガンと再会してしまう。

このあとの展開がおもしろい。
てっきり、ヒロインを巡って二人の男が抗争を繰り広げるのかと思いきや、なんと恋敵どうしが意気投合。ウェンチーそっちのけで仲良くしあっています。

そして、けっきょくチェンとは破談になり、ターガンへの想いを募らせるのですが、身元の危うい青年との結婚など、父は許してくれない。
しかし、意外ななりゆきで、ふたりは結ばれてしまいます。ターガンが自立した青年として描かれているところがいいですね。

随所に笑いどころたっぷりの見せ場があって、なかなか楽しい一作。キスひとつしないのでムードはありませんが、こういうノリは大好きですね。
「ローマの休日」のヘプバーン演じるアン王女が靴を脱ぐシーンなど、どこかで観たような名画のパロディシーンもあります。でも、電話の会話や、最後の並んだ二人が並んだそのままで画面が切り替わっている部分はみごとでした。

主演のふたりは、台湾で人気の歌手フォン・フェイフェイとケニー・ビーで、全編に歌唱曲が流れる。インド映画のようなミュージカル色の強いラブコメです。


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ステキな彼女(1980) - goo 映画

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