陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「いまを生きる」

2011-11-20 | 映画──社会派・青春・恋愛
1989年のアメリカ映画「いまを生きる」(原題:Dead Poets Society)は、破天荒な教師が、伝統を重んじるエリート校に新風を送り込む学園ドラマ。日本にも漫画を原作にした「GTO」など、このテの名物教師のドラマは話題になりますよね。

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規律を重んじ名門大学への進学者も多く輩出しているウェルトン学院に、本校の卒業生で英語教師ジョン・キーティングが着任してきた。
ここにいるのは親の期待を背負った弁護士や銀行家、医者など名士の子息たち、生徒をおさえつける厳格な教育をする教師たち。男子ばかりの寮生活で礼儀正しく躾けられた少年たち。
しかし、彼らにとって、キーティングの授業はなんとも奇抜なものだった。

気に入らないお堅い学説はテキストを破れと命じ、自分なりの思考力を養えとけしかける。キーディングの魅力に惹かれた少年たちは、キーディングが学生時代におこなっていた朗読会「死せる詩人の会」をふたたび結成し、夜な夜な洞窟に集まるように。親に抑圧されていた彼らは、自分がほんとうに今成しとげたいことを探し出すようになります。音楽や芝居に親しみ、女の子とも付き合い、酒の味を覚えてしまう。自由さに目覚めた彼らはやがて親と衝突を繰り返すように。

もともと優等生ばかりの学校なので、ありがちな不良を更生させる話はありません。でも、日本の進学校だったらこういう掟破りな先生には冷めた反応をするのがふつうだと思います。お坊ちゃんがちょいワルにめざめいていく話が好きな方にはおすすめ。

学園内の四季の移ろいが美しいドラマでもあります。
ただすこし、傷つきやすい若者が悲劇を迎えるくだりは居たたまれないものがありますが。その責めが教師に回ってくるが、なお彼らを慕う生徒たちに熱いエールを送られるというあたりもお約束。子どもが親を説得してこそ、教師の教えも報われるのでは。最後のアレはただの数にもの言わせたパフォーマンスにしか思えませんでした。

監督はピーター・ウェアー。
出演はロビン・ウィリアムズ、ロバート・ショーン・レナード、イーサン・ホーク。

自由にしたい放題生きろというのはたやすいけれど、その前にルールを守ること、自分の意思を持った行動は他人のために発揮してこそ美しいのだということ、そういう道徳的なことを教える教育こそ必要なのではないでしょうか。自分の力で生きていくためにしっかりした職業に就けと口酸っぱく言う親の言い分はえてして間違ってはいないように感じます。

感動したというよりは、多感な年ごろの子どもたちとの接し方の難しさを感じさせる物語ですね。子ども・若者に媚びて人気取りの授業をすればそれで済むのか、という疑問が湧きます。

正直こういう映画を観て育った世代が親になっているせいで、教師への突き上げが横行しているのではという気がしないでもないです。
自立心を求めるなら教育ドラマでなく、現実の職業人を描いたものを見せるほうが説得力があります。映画やドラマの業界人の理屈でつくっている映画のステレオタイプかなという気が。

いまを生きる - goo 映画

(2011年1月30日)

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