陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「クロコダイルの涙」

2010-11-16 | 映画───サスペンス・ホラー
夏場になるとホラーやサスペンス映画が恋しくなるものですが、熱さで気が緩んでいるせいか恐さも恐さと過剰に反応しないだるさ。
いや、恐かったというよりもお話がだるくてよくわからなかったという印象。典型的な吸血鬼像を予想していると裏切られます。
それが、本日の映画「クロコダイルの涙」、1998年作のイギリス映画です。

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美貌と才能に恵まれた青年医師スティーヴンは、飛び込み自殺を図ろうとした女性マリアを救う。
それをきっかけに恋人になったふたりだが、スティーヴンはマリアの血を吸って殺害し、遺体を海に棄てた。遺体が漁船によって発見されたたため、警察の取り調べを受ける。スティーヴンが去年付き合っていた恋人も不審な事故死を遂げたことから、嫌疑がかけられる。が、チンピラに囲まれた警部を救い、別の容疑者もあがったことから、解放される。
それと相前後して、スティーヴンは知的なエンジニアのアン・レヴェルズを新しい恋人にむかえる。

生きるためにこれまで数多くの女性を犠牲にしてきたスティーヴン。冒頭の女性とは異なって、アンは一本筋ではいかない女性なので、本気の恋愛になれません。
スティーヴンもなかなか襲わないので、本気で愛しはじめたのかと思われる。だが、スティーヴンは、アンが自分を本気で愛し、純度の高い愛情が血にやどる機を狙っていたのでした。
でも、やはり最後は愛に負けたということになるのでしょうか。

襲うべき相手を好きになってしまうヴァンパイアものはよく見られるパターンですが、この映画の場合、主人公は爬虫類という定義。古典的なゔ吸血鬼というイメージもなく、かといってワニのように肌がごつごつしてくるわけでもないです。

主演の怪しい魅力を放つ医師は、ジュード・ロウ。アン役はエリーナ・レヴェンソン。
でてくる女性は地味目なタイプ、ほかの男優は三枚目を揃えていて、ジュード・ロウの美貌とアクションシーンを引き立てるかのように存在しているため、おもしろみに欠ける。

原題は、The Wisdom of Crocodilesは、哲学者フランシス・ベーコンからの引用らしい。
クロコダイルの涙というのは、獲物を捕食する際にみせる空涙のこと。
作中に出てくる官能的な詩編は、聖書からの引用。

監督は、レオン・ポーチ。香港出身なせいか、スティーヴンの部屋のインテリアが異国情緒たっぷり。
伝統的な吸血鬼の東欧的な暗さは微塵もなく、どこか近未来のSFのようでもあります。

(〇九年八月六日)


クロコダイルの涙(1998) - goo 映画

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